2017年03月07日Tue [05:49] 中国  

私の宝物

私の宝物―泣き虫少年のあの日の中国私の宝物―泣き虫少年のあの日の中国
趙 平

連合出版 2017-01
売り上げランキング : 176034

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


実体験に基づくいわゆるノンフィクションだとしているのだが、メタフィクションってやつだね。中国の日本語学界では名を届かせている人みたいで、78年組みで、その地頭の良さはこの日本語原文でも分かることなのだが、日本人が読めば日本の話はちょっと不自然に膨らんでいる気がするし、中国人が読めば、中国の話は同様に思うのではなかろうか。それこそいわゆる傷痕文学ではないかと思うのだが、阿部治平と30年来の同僚だそうで、類は友を呼ぶではないが、六四直前の中国の大学でアウトサイダー的な位置にいたことは想像に難くない。当時の天津外語大の日文科主任は労働者出身の日本語を解さない人だったそうだが、学識とは別の世界の幹部と、教員の断絶はたぶんどこの大学でも見られた事。文革中のファーストキスの話など、傷痕文学定番の甘酸っぱい恋なのだが、当時は自転車を鍵もかけずに外に置いていたというところに感慨深いものがあった。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年03月05日Sun [06:16] 中国  

張作霖

張作霖:爆殺への軌跡一八七五‐一九二八張作霖:爆殺への軌跡一八七五‐一九二八
杉山 祐之

白水社 2017-01-28
売り上げランキング : 49142

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


張作霖の評伝は中国でも台湾でも微妙になってしまうか。日本でも別の意味で微妙なのだが、張学良の方は中国で愛国者として認められているらしい。日本に殺された張作霖は抗日英雄でも良いはずなのだが、中共史観では反動軍閥であるからして、張作霖生家跡にある碑文も張学良であって、張作霖の名は無いらしい。まさか例のコミンテルンやら、劉少奇やらの謀殺説と関係している訳ではあるまい。ただ、袁世凱を見切って、孫文の盟友でもあったのだから、時が経てば再評価されるのかもしれん。蒋介石だっって今や立派な愛国者なのである。著者の前作は記者ものと思えないような重厚なものだったが、今回は割りと読みやすい。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年03月03日Fri [06:33] 中国  

通州事件

通州事件 日中戦争泥沼化への道 (星海社新書)通州事件 日中戦争泥沼化への道 (星海社新書)
広中 一成

講談社 2016-12-22
売り上げランキング : 110756

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


南京に対するカウンターとして通州を持ち出すことを批判しなからも、左翼側には付かないという姿勢は鮮明にしている。イデオロギー論争や歴史認識も一概には不毛とは言えず、むしろそうした言説によって議論が誘引されるのなら、研究者としては歓迎すべき点もあるのだろう。というのは南京にしても通州にしても、最初からプロパガンダが出発点であることはその役者が違うだけで共通しているのである。つまりは最初から両方の事件ともカウンターであるのだから、現在もカウンターとして「歴史戦」が展開されるのは元の精神を踏襲しているからとも言える。史料はプロパガンダ前提とすれば、背景解説は新書一冊で十分なのかもしれない。事件が起こったのは中国の地であり、そこに日本の軍隊がいたのだから侵略というのが大方の中国人の見解であるのだが、その中国が国民党であるとか、「ニセチャイナ」であったといったことに拘る中国人はそういないだろう。日本人と中国人、どっちが残虐だけで競われている議論から一歩踏み出す為にも引き出しを多く作りたい。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年03月02日Thu [05:45] 中国  

飛田をめざす者

飛田をめざす者: 「爆買い」襲来と一〇〇年の計飛田をめざす者: 「爆買い」襲来と一〇〇年の計
杉坂 圭介

徳間書店 2016-07-28
売り上げランキング : 212133

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


飛田もの第3弾なのか。著者ではなく、飛田住人に中国人の区別が付いているのかどうか分からんが、中国人に客が多く、それが全体のテーマにもなっている。「爆買い」は差別語で、中国人のマナーの悪さを言う人は日本の農協観光の時代を知らないとかドヤ顔で言うのだろうが。中国人観光客はしっかり日本で買春しているし、それが目当ての人も多いんだよね。一番嫌われる「説教買春」する中国人もいる様だし、変態も多い。紳士的というフレーズは適用されない世界だが、中国人がその場のマナーが良い訳ではない。楽しんでいる人がいる一方、攻撃的な客もいる様で、言及はしていないが、どうもこれは「復讐型」の様だ。日本の女とやって、戦争の復讐をするという中国人はマジに相当数いて、ネット空間に留まらず、その手の映画が作られたこともある。いすれにしても飛田は中国人にとって、日本人以上に知られているスポットの様で、歌舞伎町は直接的に可視化されている訳ではないので、飛田には興味津々の様だ。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年03月01日Wed [05:51] 中国  

中国人観光客の財布を開く80の方法 

中国人観光客の財布を開く80の方法 (新潮新書)中国人観光客の財布を開く80の方法 (新潮新書)
岡部 佳子

新潮社 2017-01-13
売り上げランキング : 177009

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


新顔の人だな。コンサル屋さんの様だけど、新潮は持ち込みではないだろう。ポスト爆買の企画だったと思う。ただ、中国人観光客の行く店は大体決まっている訳だし、中国人店員も揃えているだろうから、この程度の話は意味ないか。話は9割引で聞くというのは正しいだろうが、中国人を一括りにするなとなると、この本自体が矛盾してしまう。15年位前まではインスタントコーヒーの空瓶に茶葉を入れて飲んでいたというのは著者が上海に留学していた頃のことか。90年代中ごろにはもう廃れたと思ったのだが、2000年代でもそれが一般的だったのか。初めて中国に行った頃は汽車に乗ると、乗客の必須アイテムであったんだけど、不思議なのはコーヒーを飲んだことがないという人ばかりだったということ。空瓶は決まってネッスルのもので、聞くと、空瓶だけ売っているのだという。中身が入ったものは人民市場でも売っていたから、国内製造だったと思うが、コーヒーが飲めるのはホテルの「コーヒーショップ」とかだけで、それも外資じゃないところだと、戦中派が言うところの麦焦がしみたいなものであった。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月28日Tue [06:03] 中国  

北京レポート

北京レポート 腐食する中国経済北京レポート 腐食する中国経済
大越 匡洋

日本経済新聞出版社 2016-08-26
売り上げランキング : 145935

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


これも日経。重慶支局なんてあるのか。定石通り、巷に溢れる「嫌中本」の批判から始め、実際の中国を伝えたいという様なことを宣言するのだが、結局、「私の見た中国」は私という世界だけの実際であって、「私が見ていない中国」が幻想世界であるという証明にはならんのよね。「歴史認識」の方はもう常識ではなくなったが、日本人は中国人を見下しているという「常識」は中々崩れないものだね。中国人は貧乏だも、中国人は金持ちだとも表裏一体なのだから、どちらかを出して、どちらかを否定することは不可能であるし、日経が煽ってきた中国経済バラ色論を、今になって腐食論で覆い隠せるものではない。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月25日Sat [07:05] 中国  

バーバリアン・レンズ

バーバリアン・レンズ: 中国における西洋廃墟の写真史バーバリアン・レンズ: 中国における西洋廃墟の写真史
レジーヌ ティリエ R´egine Thiriez

国書刊行会 2016-11-24
売り上げランキング : 1054408

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1998年原著なのか。円明園は私が初めて行った時はまだ放置された廃墟の雰囲気があったのだが、最近はどうなんだろう。やはり観光地化しているのだろうか。元が元だけに中共史観では抗日関係と違って、愛国基地化する訳にはいかんのだろうが、代わりに愛国対象となったのが例の動物像。中野美代子先生が解説を書いているのだが、あの像はレプリカに過ぎないのに、中国政府の言い分をそのまま報道するメディアを叱っている。39億円で落札してそれを払わなかった中国人が如何に馬鹿げた「愛国行為」であったかという見方が大勢であったと思われるが、あれは偽物オークションに浮かれる人たちへの一撃だったのか。野蛮と文明の二極論は中国では今も健在なのだが、西洋を文明と位置づけると、必然的に中国が野蛮になってしまうので、中国を文明として世界に位置づけさせる渇望の表れなのだろう。廃墟とされた中国の西洋建築はある種のメモリアルである。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月24日Fri [06:13] 中国  

兵士のアイドル

兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争
押田 信子

旬報社 2016-06-02
売り上げランキング : 198935

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


旬報社の本だが、それほど傾向ではない。慰問雑誌に関しては「戦中アイテム」として語り継がれているし、李香蘭の「日劇七周り半事件」や、高峰秀子のブロマイドなどは定番ネタではある。最近はその様な言い方がまだあるのか分からんが、自分の時代だとアイドルに○○命といった表現があり、あれって戦時中に兵士が持参していた「プロマイド」に由来するのかな。そんなことはないか。デコの様なトップクラス以外にも、今のアイドル戦国時代の如く、色々な○○命があったみたいで、ムーランルージュはさながらAKBの如く、兵士お気に入りの女優が揃っていた。96歳の明日待子と94歳の月丘夢路のインタビューもある。原節子も李香蘭も最近まで存命だったし、香川京子は今でも現役である。戦死した中国兵の遺体の胸に胡蝶のブロマイドがあったという話があるが、日中双方兵士の思いは変わらないといったところか。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月23日Thu [06:27] 中国  

君と共に中国を歩く

君と共に中国を歩く君と共に中国を歩く
呉 祥輝 東 光春

評言社 2017-01-26
売り上げランキング : 287789

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


台湾人作家が息子と中国を旅するという話なのだが、その設定だと、外省人なのか本省人なのか、統一派なのか独立派なのかの二者択一になってしまうのだが、どうもそういうのとは性格が違う様だ。作家は本省人の様で、ウィキで見ると第三党の立場で政治活動もしているらしい。嫁はキャサリンと記されているがたぶん台湾人。息子二人は英国で教育を受けさせ、うち一人は日本にも留学させている。作品は北欧三部作とか、アジア三部作とかで、三毛にコミットしている国際派らしい。読んでいくうちにああそういうことかと分かったのだが、この世代の台湾人にとって、「中国」は外国であるとは言い切れないが、息子にとっては完全に外国であって、その辺のギャップを親子で埋めていこうという作業である。政治的表明はほぼ何も言わない。ただ作家は禅問答の様に息子に問い続けるだけなのだが、息子は当然の如く中国が好きではなく、好きになる必然性も感じない。結局、実際に息子がそう言ったのかどうかは怪しいが、中国人が好きでないにではなく、中国という国家イメージと、中国人の国際イメージが好きではないということが分かったのだと。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月21日Tue [04:57] 中国  

アジア主義と近代日中の思想的交錯 

アジア主義と近代日中の思想的交錯アジア主義と近代日中の思想的交錯
嵯峨 隆

慶應義塾大学出版会 2016-06-23
売り上げランキング : 1084449

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本語学習者は無論、日本への留学生の数も現在の中国は当時とは比較にならないとは思うが、中国人の日本思想受容、紹介としては当時の方が現在よりも大きかったと言えるのかもしれん。建前として、日本語を通して西洋の思想を学ぶという理由はあったのだが、そうした中で日本の政治思想が革命に与えた影響は測りしえない。孫文の大アジア主義も然りなのだが、マルクス主義には否定的であった孫文が依拠するのは必然的に右の「傾向」になろう。中国の反体制活動家を日本の右が支援するという構図は現在でも見られるものだが、そのシーンで現在、日中間に思想的交錯があるかとなると、それは疑わしくなる。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月20日Mon [05:38] 中国  

満州国の最期を背負った男・星子敏雄

満州国の最期を背負った男 星子敏雄満州国の最期を背負った男 星子敏雄
荒牧 邦三

弦書房 2016-07-22
売り上げランキング : 280387

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


元満洲国警察官僚で、戦後熊本市長だった人の評伝。著者は熊本日日役員らしい。五高のバンカラから始まるのだが、大川周明との出会いもあって、アジア主義に開眼していく。帝大に進んでも、考えるのは満洲雄飛であって、駐在の警察官から始めたらしい。これは今でも変わらんのかな。甘粕の妹としたこともあって、終戦時は国務省総務庁警察局長という要職。シベリア行きとなる。帰国は昭和32年。6年後には市助役就任なので、シベリアでの12年間以外は順風か。熊日も郷土の偉人として扱っておるのだが、歴史認識との兼ね合いには苦慮した様だ。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2017年02月18日Sat [06:09] 中国  

中国経済を読み解く

中国経済を読み解く: 誤解しないための8つの章中国経済を読み解く: 誤解しないための8つの章
室井 秀太郎

文眞堂 2017-01-16
売り上げランキング : 147829

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日経の中国プロパーの人らしいが、文眞堂。学部テキスト用かな。中国駐在は80年代中期の様で、その体験記は古い。上海のウイグル人マネチェン屋の話などしても、今の学生さんにはピンと来ないだろう。当時は運転手にFECを渡して、買い物を頼んでいたそうで、人民元で買い物をし、FECを溜め込んだ運転手は金に換えていたらしい。表向き、外国人の人民元は禁止で、FECでは市場で使えないこともあったのだが、監視役でもある運転手に役得を与え、懐柔する必要性もあったか。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑