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アルゼンチンサッカーの思考力 (サッカー小僧新書) 亘 崇詞 白夜書房 2011-05-31 売り上げランキング : 18215 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
現役時代の実績はよく分からんのだが、ボカやスポルティング・クリスタルというその国を代表する名門のトップチームに登録されたというだけでも、南米では大変なことであるし、現在ヴェルディのジュニアユースの監督であるというのも日本ではその道の実力者ということになろう。加えてテレビでもマスコミ慣れしたところを見せている訳だから、サッカーの総合的な才能があった人と言えると思うのだが、この新書でもその一端は垣間見られる。日本にとってアルゼンチンは文字通りの地球の裏側に当る訳だが、関係が少なくないといっても、やはり隣のブラジルほど人的にもサッカー的にも密ではない。それでアルゼンチン人にはブラジル人の様なステレオタイプ的イメージはないのだが、マラドーナやメッシがアルゼンチン人の性格もサッカーも代表しているかというとそうではなく、むしろ例外的なケースの様だ。他の南米諸国でよく言われるのが、アルゼンチン人は高慢で白人の割合が高いために差別的だというものだが、著者はアルゼンチン人は差別意識が無いので、黒人選手に軽口を叩き誤解されてしまうことが多いという。アルゼンチンでは無いがウルグアイのスアレスがプレミアで最近そういう問題があった。自分の記憶を辿っても、アルゼンチンより貧しく白人の割合が低い国の方が遥かに高慢で差別的(アジア人に対して)である。かといって、ヨーロッパとかアメリカの白人の様な無関心ではなく、無意識が理由だと著者はしている。この辺の考察は興味深いが、アルゼンチン人としてのアイデンティティの象徴がガウチョにあることは間違いない様で、保守的な女性観もその辺から来るものであろう。
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