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2011年11月18日Fri [00:41] サウジアラビア | 本・雑誌 |読書メモ  

メッカ事件

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中川 和夫

文芸社 2011-10-01
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1979年に起こったメッカ事件についてはなかなかいいテキストが無いなとは思っていたのだが、30年以上の歳月が過ぎてなんとその入門書兼決定版みたいな本が出た。事件に関与したわけでもないが、事件に全く関係ない訳でもないオサマ・ビン。ラディンが殺害されたからということでもないのは、文芸社からということでも分かるのだが、文芸社らしからぶハードカバー、高紙質、そして著者は事件当時にJICAサウジアラビア事務所長だったというアラビストとくれば、正に「らしくない本」である。ということで、このブログで★1が定番の文芸社本にあって初の(たぶん)★3にしたのだが、初心者向けに書いたとのことでイスラームの成り立ちから、サウジ事情まで補足をコラムで繋ぐのも本格的。帰任した80年代に原稿は書き上げたそうだが、諸般の事情というより、勤務上の理由で原稿が30年も眠ってしまっていたのではないだろうか。現在は大学教員、そして家裁の調停員も引退して身辺が自由になった様だが、そうなると文芸社になってしまうのは残念なところ。事件そのものが現在でもタブーなのかどうか分からぬが、当時サウジとしては内密にしたかった様で、アメリカにも協力を頼んだそうだが、アメリカがリークしてしまったのだという。まだ解決していなかったイランの大使館人質事件などがその背景にあったと見られているそうだが、何分、聖地での事件だけに異教徒を入れる訳にはいかず、サウジと米国で「協力」の認識のズレが生じたのかもしれない。結局パキスタン軍が鎮圧に協力することになったそうだが、ヨルダン軍の協力はムハンマドの血筋であるフセイン国王が軍をメッカに居座らせるかもしれないということで、取り止めになったのだとか。サウジとしては歴史の汚点である以上、積極的な宣伝はしていないだろうし、場所が場所だけに、事件がその後の「イスラム過激派」に影響を与えた訳ではなかろう。ただ公然とイスラームのタブーを犯したテロリズムは、その後の自爆攻撃などのタブーも矮小化させてしまった風にも思える。

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