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2011年10月08日Sat [00:21] モンゴル | 本・雑誌 |読書メモ  

朝青龍よく似た顔の異邦人

朝青龍 よく似た顔の異邦人朝青龍 よく似た顔の異邦人
木村 理子

朝日新聞出版 2010-09-29
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ただの引退便乗本かと思ったら、読んでビックリの良本だった。著者はモンゴル在住歴11年という朝青龍とも親交のある人なのだが、日本人が朝青龍に感じたあの違和感の源をここまで明確に解き明かしてくれるとは。朝青龍に鬱病の診断を下した医師も話題になったが、あの医者はモンゴルのことをどれだけ分かっていたのだろうか。一週間滞在した人、十年以上滞在した人しかその国のことを書けないとある国連職員に言われたとのことだが。なるほど著者のモンゴル理解は一週間滞在経験のある私には納得いくものだ。ほとんど日本人と変わらない日本を話す朝青龍の日本語がモンゴル式思考に拠るものというのは変な気もしたが、東大のモンゴル語教師である著者もまた日本人の思考によるモンゴル語を使ってしまうのだという。共に授業のゲストに呼んだ朝青龍と白鵬の違いというのもまた興味深いものである。著者は旭鷲山と旭天鵬が入門するきっかけとなったモンゴル相撲の親方来日と日本相撲協会の面会を繋いだ人ということで、言わば朝青龍の生みの親である。その時にアントニオ猪木か二子山相撲協会理事長のどちらに会わせるかで、相撲協会行きを選んだそうだが、なるほどもし、その時に猪木の方に行っていたら、違う未来になっていただろう。その面会では一時問題になった相撲協会の禁忌を味あわさられるのだが、それはそれと嫌な気持ちはしなかったという。そうした柔軟性はモンゴルと日本の伝統文化を相対化してきたことによって培われてきたものかとも思う。それと著者が末期ながらモンゴルの社会主義時代を経験したというところは、現代のモンゴル人理解において非常に大きいものがあるのではないかという気もした。

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