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2011年09月28日Wed [15:02] 中国 | 本・雑誌 |読書メモ  

松井石根と南京事件の真実

松井石根と南京事件の真実 (文春新書)松井石根と南京事件の真実 (文春新書)
早坂 隆

文藝春秋 2011-07
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南京事件の「真実」については参考文献通りなので、新味としては松井石根の人物像の方だろう。松井が「支那通」の系譜に属することはよく知られているのだが、その「日支親善論」は現在の「日中友好論」と通じるものが無い訳ではない。共に表向きは平等共生を謳いながら、その実、一方が一方に精神的に隷属するというもので、隷属する側が中国から日本に変わっただけで、そう考えれば、汪兆銘も仙谷も大した違いはないのだろう。陸軍には支那通の系譜があり、蒋介石ら日本へ留学した人材が中国の側にも多くいたということを思えば、交流を活発にすることが戦争回避に繋がるわけではないとも言える。自衛隊と人民解放軍には限られた形の軍事交流はあり、留学生派遣などもある様だが、人民解放軍幹部クラスに「日本通」は皆無だろうし、いたとしてもより「抗日的」にならないとあらぬ疑いをかけられるだろう。支那通が中国の現状を知って、蔑視に転じたケースも多々あった様だが、松井の場合、そうした傾向を示すことはなかったらしい。軍人の責務が己の持論と相反しても前者を優先させることに疑問の余地などない訳だから、松井の無念の本質というものは「歴史認識」にあるのではなかろう。蒋介石や山本五十六が中国で「再評価」された様に松井が中国で「名様回復」される時代が来るとは思えんが、「支那通」に対して多角的な見方がされる可能性はあろう。

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