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2011年05月30日Mon [14:42] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

都市を生きぬくための狡知

都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―
小川 さやか

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タンザニアの零細商人の世界については先日読んだばかりだが、もう一冊出ていた。ともの10年近くの調査を続けた成果だが、こちらは博論ものということでスタンスが違う。先日読んだ立教の先生の本には、自分で商売をやりたいと思わなかったのだろうかという感想を書いたが、こちらの著者は院生の身分だったこともあったのか実際に自分でやってみたという話。それも10年近くというから半端ではないのだが、当然の如く、現地では大変目立ってしまい、逆に現地メディアが取材されることもしばしあったらしい。文化人類学の定点観測という意味では10年でも20年でも長くは無いと思うが、博論を書く為だった、それが本業になってしまった訳ではなく、最初か最後まで研究が主であり初志貫徹したというのは凄い。そうしたことを鑑みれば、実際に身を投じた者の方の話が面白いはずなのだが、徹底してデータ蒐集に徹した先生の本の方が読みやすく面白かった。こちらは博論だし、インフォーマントが身内化していて、感情移入が強いという点は致し方ないのだが、やはりこのグローバル・ビジネスの一端をタンザニアだけで完結させているのは身も心もタンザニア商人になりきってしかったからというところか。商品である古着は日本も有力な輸出国なのだが、そうした出所にはほとんど関心がなく、商売の狡知、痴話喧嘩を演じるとか、仕入れ値を偽るとかいった話がメインとなるので、商人としてではなく研究者としての仕事だったのなら、10年の歳月は長かったのではないかと感じさせれた。

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