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2011年05月29日Sun [15:56] 台湾 | 本・雑誌 |読書メモ  

「昭和」を生きた台湾青年

「昭和」を生きた台湾青年 日本に亡命した台湾独立運動者の回想1924-1949「昭和」を生きた台湾青年 日本に亡命した台湾独立運動者の回想1924-1949
王 育徳

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 王育徳と言えば台湾独立運動のパイオニアにして、台湾語研究のパイオニア。台湾で民主化が進む以前に志半ばで亡くなったこともあり、学究肌の運動家といったイメージしかなかったのだが、共に台独運動と台語研究のバイブルとなっている著書以外にこんな面白い回想記を残していたとは知らなかった。何でも著者の他界後に発見されたもので、著者が四十一歳だった1965年頃に書かれたものらしい。台湾では既に「王育徳自伝」として刊行されているそうだが、言うまでも無く原文は日本語である。著者は中河与一の下で小説の修行もしたそうだが、一読して分かる様に著者の生まれ育った環境や時代が既に日本人の文学的想像世界を超越しており、その意味では自伝にして「魔術的リアリズム」にも通じるものがある。台湾の封建制と日本の封建制がどう共存して衝突していったかという言わば「植民地支配」の本質みたいなものを自身の体験として見事に描いているのだが、そこに突然現れた中国の封建制は著者にとって受け入れられるものではなかったのだろう。それはちょしゃの父の世代が日本の封建制と対峙したプロセスと類似したものかもしれないが、今また現代の台湾人が直面している中国共産党の封建制もいつか来た道なのであろう。なお同級生だった邱永漢のエピソードはともかく、1960年後に東京で李登輝と会ったという話は着目すべきか。

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