FC2ブログ
2011年03月31日Thu [13:27] ブラジル | 本・雑誌 |読書メモ  

ブラジルの人種的不平等

ブラジルの人種的不平等―多人種国家における偏見と差別の構造― (世界人権問題叢書74)ブラジルの人種的不平等―多人種国家における偏見と差別の構造― (世界人権問題叢書74)
エドワード E テルズ 伊藤 秋仁

明石書店 2011-02-04
売り上げランキング : 737672

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ブラジルの人種差別がないというのは神話であるのだが、「血の一滴ルール」で黒白はっきり分別されてしまう合衆国に比べて、その区分が曖昧であることは確かであろう。問題はそれが人種的寛容を表したものではなく、むしろ人種間の不平等を固定化する手段となってきたことであろう。ブラジルより人種差別が酷いはずの合衆国で「黒人」が大統領になったのに対し、ブラジルでは歴代大統領、主要閣僚のほぼ全てが「白人」である。オバマはブラジル人であれば黒人と分類されないという見方もあるが、ブラジルの政界であればその人種的特長はより目立っていただろうし、生粋の黒人女性を妻としている点でも「白人」としては見なされないであろう。合衆国出身の著者はジルベルト・フレイレなどによって定説化されたブラジルの人種的寛容性にメスを入れ、それが如何に現実性を欠いているかではなく、それがどの様な論理において正当化されているかを検証している。黒人の子守に育てられた経験は人種的寛容さよりも人種差別を自然のものとして受け入れる要素になるかと思うが、そもそも北東部の様な黒人人口が多い地域を除けば、ブラジルの白人でそうした経験を持つ者は少ないかと思う。つまるところブラジルの人種問題は「南北問題」であるとも言えるのだが、そのこと自体が人種的不平等を経済的不平等に置き換えさせているのだろう。サッカーと音楽という黒人の成功を体現できるとされる舞台においても、成功者が監督として迎えられることはあまりない。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する