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2010年09月25日Sat [15:42] ミャンマー/ビルマ | 本・雑誌 |読書メモ  

抵抗と協力のはざま

抵抗と協力のはざま――近代ビルマ史のなかのイギリスと日本 (シリーズ 戦争の経験を問う)抵抗と協力のはざま――近代ビルマ史のなかのイギリスと日本 (シリーズ 戦争の経験を問う)
根本 敬

岩波書店 2010-06-24
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岩波の「戦争の経験を問う」というシリーズらしい。笠原十九司とか成田龍一といった岩波御用達も書いているけど、特殊漫画家でない根本敬の方はビルマに特化しているから、それほど色がある訳ではない。もっともこの国場合、ビルマかミャンマーかで立場表明になるので、その意味ではビルマ派。しかし、同じくビルマものを何冊か出している根本百合子と言う人は御母堂だったのか。70歳を過ぎてから本を出したということはまさか息子に触発されてという訳ではないのだろうが。気になるところ。こちらの方はビルマが植民地から独立に至るまでの動きを独立運動の志士を中心に記録したもので、その点では「戦争の経験を問う」なのであるが、「国史」としての独立戦争を描いている訳ではなく、世の植民地独立が大概そうである様に、当局との交渉と内部抗争がその主たる動きである。もっとも独立後には「戦争の経験」がモノを言った訳で、娘に政府が手出しをできないのもアウンサンが「将軍」であるからである。これは知らなかったのだが、戦後に賠償額の引き上げを日本に求める為に来日したアウンヂー「准将」が、賠償額の話ではなく家庭問題を兄に相談する弟の立場で来ましたと言ったというエピソードは日本に驚きをもって受け止められ、後にタイの関係者が日本がうらやましいとかいったなんてこともあったそうだ。兄の国を侵略した弟の国は儒教的に罪深いから永遠に賠償しなくてはならないという基本で謝罪と賠償を求める「近隣諸国」とはえらい違いだが、ビルマの国史的には侵略者である日本も「南機関」は独立運動の功績があるということになって、歴史認識的には日本の評価も一元的ではないらしい。中国は早速武漢で開かれる予定の「梅屋庄吉」展を中止したそうだが、この前読んだ外交官の本によると、魯迅や蒋介石が日本に留学していたことは知られているが、周恩来や陳独秀といった共産党の大物が日本に留学していたことや孫文と日本との関係はあまり知られていないとのこと。まあ今回の事件で日本は中国の「弟の国」であることを世界に宣言してしまったから、これから改革開放の支えた日本のODAも歴史から消されることになるんだろうな。

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