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2010年09月24日Fri [13:22] 中東/アラブ | 本・雑誌 |読書メモ  

湾岸産油国

湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ (講談社選書メチエ 477)湾岸産油国 レンティア国家のゆくえ (講談社選書メチエ 477)
松尾 昌樹

講談社 2010-08-11
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クウェートやドバイが国際ニュースの主役になったり、バーレーン、カタール、オマーンはもっぱらサッカーの対戦国として、小国ながらその名前が日本で知られていない訳でもない湾岸レンティア国家。経済、政治体制が同じながら、人口、国土が大きいサウジアラビアや地域的には同じイエメンは除外されているが、人口の過半数を外国人労働者が占める王政産油国の実情を制度上からみてみると、あらためて驚かされるものばかりである。その平均的な姿でいうと、国民の大多数が公務員か国家セクターの職員、給与水準は日本かそれ以上。税金はほぼ無し。この辺りまでは容易に想像が付くものであるが、では人口の過半数以上を占める外国人労働者はどうかというと、その給与は国民の10分の一程度。すなわち2万円から3万円くらいの月給だという。日本では外国人研修生の月収が10万円くらいで、研修生という名の奴隷などとも呼ばれているのだが、そんなものは目ではない。外国人看護士導入でも日本人と同一賃金という原則から、逆に研修費などがコスト高になり、受け入れ先が集まらなかったなんていうこともあったが、日本の様な原則を貫く国は少数で、外国人労働者を制度的に受け入れている国の多くは自国民と格差があることが逆に前提となっているのである。それでも何年も滞在すれば、日本の様に定住だったり、永住権だったり、帰化なりで同一賃金が得られるのではないかとも思うが、それはほぼ不可能というのが常識なのである。浦和で帰化話もあったが年齢詐称疑惑で流れたエメルソンがカタールですぐ国籍取得して代表になったり、代表チームの半分以上はどうみてもアフリカ辺りの帰化選手であったり、はては全くその国と縁もゆかりもないドイツでプレーしていたブラジル人選手3人を「帰化契約」で代表入りさせようとしてFIFAに阻止され規約を改定されたり(そのうちの1人は後に無事ブラジル代表に選出された)という帰化には緩い国かと思いきや、これらの国でアラブ系以外が帰化するには30年以上の居住が条件であるらしい。事実上、アラブ系以外の帰化は不可能なのだが、エメルソンなどは特例なのであろう。それではアラブ系は帰化して国民国家の一員になれるかというと、何と帰化人は選挙権も被選挙権もナシ。つまり国籍はあっても選挙権はないという外国人に参政権を与えようなんて言っている国からみれば開いた口が塞がらない様な政策をとっているらしい。もっともこれらの国は最近まで自国民のマトモな議会があった訳ではないのだが、エジプト人やパレスチナ人に大量に帰化されると国が乗っ取られてしまういう危惧からの対策らしい。そもそもレンティア国家において税金を納めている訳ではない国民が政治的権利を主張することができるのかという議論も含めて、その善し悪しは別とし国家というもののあり方を考えさせられる。クーデターで倒れない王政を維持できるのは王族の数を増やして一人だけ殺しても継承者がゴマンといる状態が作られているからだという。なるほど王様にやたら子どもが多いのはそのためだったのか。

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