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2010年07月31日Sat [01:48] 中国 | 本・雑誌 |読書メモ  

記録と考証 日中実務協定交渉

記録と考証 日中実務協定交渉記録と考証 日中実務協定交渉
小倉 和夫

岩波書店 2010-06-25
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この著者は元駐仏大使で、チャイナスクールではなかったと思うが、日中国交交渉時の中国課首席事務官として実務交渉にあたったらしい。その回想記ではなく、あくまで開示された史料と関係者へのインタビューで交渉を再現した研究書とのこと。航空、海運、貿易、漁業の4協定だが、これはなかなか迫真に迫ったものである。航空協定は台湾との関連で最難関と言われた交渉であったことは良く知られていることなのだが、中国側のほとんど内政干渉である要求に対して日本が要求したのがカラコルム・ルートの以遠権か。以遠権は今に至るまで中国に一方的に認められているだけど、当時も香港では中華航空と中国民航が同時に乗り入れしてたんじゃないのかな。華航の羽田線とか日本アジア航空とかも今は昔の話になってしまったが、米系や東南アジア系キャリアが別会社にすることなく同一キャリアで北京と台北に乗り入れていたのは外交力の差だったのか。光華寮裁判などもあったが、当時の中国が民間と政府とか、三権分立とかそういった概念に理解ができなかったことは事実として、「通商協定」という語句に激しく抵抗して「貿易協定」に固執したという話は興味深い。当然の如く、日本が台湾に与えていた最恵国待遇にも噛み付いてきた様だが、「井戸を掘った人」の友好商社の権益を確保したいという思惑もあったらしい。漁業関連では中国側が尖閣諸島付近に漁船を集結させるというパフォーマンスがあったのだが、日本の漁業団体は拿捕の経験から中国側に歩み寄りがあったらしく、日本の漁船の利益確保に苦慮した形跡もあったとのこと。中国の格安航空会社が中国人ツアー客を乗せて自衛隊と共用の茨城空港に乗り入れるなんてことは40年前には想像だにできなかったろうが、こうした「井戸を掘った人たち」からみれば、度々袋小路に陥ってしまう中国との交渉は時に原点に立ち戻って考え直すことが必要なのかもしれないね。

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