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2010年07月24日Sat [16:55] イギリス | 本・雑誌 |読書メモ  

ブライズ先生ありがとう

ブライズ先生、ありがとうブライズ先生、ありがとう
上田 邦義

三五館 2010-04-21
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ブライズ先生とは今生天皇の家庭教師も務め、天皇の「人間宣言」の草案を作ったというイギリス人。英文学者である著者は大学院時代に先生の薫陶を受けて以来、心酔している様で、タイトルから分かる通り、評伝と言うよりは、饅頭本みたいなもの。皇太子の家庭教師とか俳句研究といった背景は広く知れ渡っていると思うのだが、ブライズで検索しても下着屋や婚活サイトばっかり出てきて、関連キーワードを足してもこの本の情報の表示が多い。天皇の人間宣言や俳句のグローバル化に関与した人となると、その功績は計りしれない訳で、この人がいなければ、俳句を嗜むEUの初代大統領を天皇が迎えるなんてこともなかったのかもしれない。戦時中に敵性外国人として収容されながら、日本研究を己の使命として留まった英国人はフランク・ホーレーなどもいるが、このブライズさんは戦時下に日本へ帰化を願い出たというのだから筋金入りである。第一次大戦を徴兵拒否したことは有名だが、インドで植民地政策に反発して教師をやめたというのは禅の師匠だった鈴木大拙の創作という説があるらしい。たしかにその後、京城帝国大学に奉職していることとの合点が生じない。ちょっとぼかして書いてあるのだが京城時代に養子にした朝鮮人学生に妻を寝取られ、二人はロンドンに駆け落ちしてしまったということでよいのだろうか。その朝鮮人学生が戦後、韓国に戻り、北送し処刑されたというのも運命的な話である。しかし、このブライズ先生は徴兵拒否者であるばかりか、当時としては珍しいベジタリアンで、文字通りの「草食男子」であった訳だが、植民地の民のパワーには白旗を上げざるを得ず、そのことがトラウマになって天皇や禅といった無形の権威に魅せられていったのかもしれない。

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