FC2ブログ
2010年06月30日Wed [03:10] 中国 | 本・雑誌 |読書メモ  

文字の大陸 汚穢の都

文字の大陸 汚穢の都―明治人清国見聞録文字の大陸 汚穢の都―明治人清国見聞録
草森 紳一

大修館書店 2010-04
売り上げランキング : 196442

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


大修館書店はこのところ「しにか」からサルベージしたものの書籍化が相次いでいるが、この著者のは休刊を待たずに連載中に亡くなってしまったのだという。文革ものの方は上下二巻の大著が死後に出たが、本当に未完の連載ものの死後の刊行が止まらない。膨大な蔵書を抱えていた人だから、それを活用した仕事は寿命が何年あっても足りないといったところだが、明治人の清国見聞録も尾崎行雄から原敬、岡千仭、榎本武揚、伊藤博文まで来たところで時間が尽きたらしい。この中で岡千仭という人だけ知らなかったのだが、漢学ではこの中でも抜きん出た存在だった様で、いずれも当時の教養であった漢文知識が文盲が多数を占めていた当時の清国で、どの様な意味を持ったかといったことが書かれている。もっともそれぞれ国際人として、文字の大陸が汚穢の都であったという現実は知っていた様で、これは現在でも少なからずの人たちが共有している認識であろう。日本と中国の相違点について清潔か否かを上げる人たちは中国人でもかなり多いのだが、衛生観念が文化的優越を意味することはこの時代にはじまったことであろう。その意味では東アジアにけおる文明価値観の転換点であった訳で、中国人と日本人のコンプレックスが逆転するのに十分なものであったろう。更なる再逆転の季節を現在迎えつつあるのだが、清潔という尺度ではまだその道程は遠いといったところか。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する