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2010年06月27日Sun [18:41] ロシア | 本・雑誌 |読書メモ  

ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st

ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21stロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st
安達 紀子

新評論 2010-04-26
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著者は86年から92年までモスクワに滞在し、モスクワ放送などに勤務したというからギリギリソ連の空気を知る人なのだが、ロシア演劇評論家という肩書きなので、その興味の対象は、もっぱら文化方面。政治的制約がありながらロシアの文化が高い水準を保っていたのは革命前の遺産もさることながら、国家による保護を含めた政治的制約が芸術にとって必ずしもマイナスに働く訳ではないことを示しているのだろう。換言すれば、芸術の成功に商業的担保をつけるか政治的担保をつけるかという選択の違いでしかないのだが、その双方が文化を語る上で否定的に捉えられているのは芸術にとっての崇高な理念が自由にあるという建前があるからであろう。三島の翻訳から推理小説の道に進んだアクーニンの様な人はソビエト体制化では登場できなかったかもしれないが、逆説的にはソビエト体制を体験したからこそ、文化を相対化し、境界を突破できたともいえる。佐藤優や米原万理の様に意識的なカテゴライズを拒否する姿勢はソ連体験者に共通するものにも思える。

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