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グアテマラ内戦後 人間の安全保障の挑戦 みんぱく 実践人類学シリーズ (みんぱく実践人類学シリーズ)グアテマラ内戦後 人間の安全保障の挑戦 みんぱく 実践人類学シリーズ (みんぱく実践人類学シリーズ)

明石書店 2009-04-03
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明石の「みんぱく実践人類学シリーズ」全9巻の中で唯一の一国テーマで一冊。それがグアテマラというのも渋いが、近年にJICAのプロジェクトでグアテマラ国特別研修というのが実施されたそうで、東ティモールやアフガニスタンで日本が主導する紛争後の人間の安全保障という命題に、グアテマラを先行ケースとして参考とする必要があったのかもしれない。内戦そのものに関しては現地NGOに説明を丸投げしているのだが、中南米に左翼旋風が巻き起こる中、この国の旧守勢力は健在で、リゴベルタ・メンチュウが大統領選に惨敗したのも記憶に新しいところ。そのリゴベルタ・メンチュウの疑惑を暴いた米国の人類学者に容赦ない批判を浴びせた研究者が編者の一人となっているが、この人が研修の担当であったらしい。メンチュウの疑惑が選挙に影響したのかどうか分からぬが、7割以上を先住民族で占めるこの国で、ボリビアの様な先住民の大統領が誕生しないのも、先住民内のその多様なサブ・グループの存在と無関係ではなかろう。虐殺の記憶が全ての民族に等しくある訳でもなく、有形無形の圧力により軍部に協力せざるを得なかった国民も多いかと思われる。そうした現実を鑑みれば、「民族」や「虐殺の記憶」で国民統合を図るのは、それこそ「真実和解委員会」の様な確固とした受け皿が必要なのだろう。日本がそうした宗教や倫理観に根ざした理念を苦手とし、開発経済の手法を以て生活の安定化を図ることを人間の安全保障とするとするのは、戦後日本の経験則に沿ったものなのだろうが、経済的安定はテロや戦争といった暴力を遠ざけるという定説もサウジや中国などで崩れてきているのだが。

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