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日本オセアニア学会創立30周年記念出版だそうだ。正に日本のオセアニア研究の叡智を総集結させた一書であるのだが、550ページ横書き論文を一気読みするとさすがに疲れる。コーヒー3杯も飲んでしまった。1本1本の論文は短く、コラムも挟んであるので、それほど読むのが苦痛ではなかったのだが、目玉となるようなものは特になかったか。サッカーではオーストラリアがオセアニアから離脱したけど、オセアニア研究でもオーストラリアは別もの扱いの様だ。ニュージーランドのマオリの項はあるが、日本で研究者が多いアボリジニは取り上げられていない。ポリネシア、メラネシアがオセアニア学の主たるフィールドらしい。この地域でホットなテーマはやはり環境問題なのだが、ツバルの様な特殊事例を別にすれば、人々にとって現実的な危機は生活習慣病とも言える健康問題であるらしい。自然に囲まれたストレスのない社会で糖尿病などが蔓延するというのも、ある意味逆説的ではあるのだが、「先進国」がもたらしたもので責任を追求される環境問題は地球温暖化など科学的要因だけではなく、生活習慣の悪弊の方が、より深刻である様に感じた。コーヒーの砂糖は最初の一杯だけにしよう。


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