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著者は国鉄OBで、鉄道総研にいた人らしい。55歳で定年退職か。旧公社系はやはり早いな。その後もどこかに勤務しているらしいのだが、最近はチベット鉄道の研究に余念がないらしく、中国の「鉄道知識」という専門誌を20年も購読しているとのこと。その他に中国の鉄オタサイトもチェックし、自ら現地で乗車した上で、チベット鉄道を技術的側面から研究した成果を鉄道系版元に持ち込んで出版に至ったそうだ。当然ながら全て公開資料を使っての研究だが、中国の事だから、またJRの日本人技術者がスパイだなのなんだの言い出すかもしれない。そうした懸念からどうか分からぬが、チベット鉄道を「侵略鉄道」と見る向きには批判的で、それは初めに結論ありきだという。たしかにその様な傾向がはあるかもしれんが、そういうことはどちらに立ち位置をおくかで決まるものなので、中国がこの鉄道は軍事用で、漢族をチベットに送り込む為のものですなどと認める訳も無い。ただ、大西広みたいに、チベット問題は経済問題だから、漢族が牽引してチベット族も経済的豊かになれば矛盾はなくなるなどというノーテンキな結論は出しておらず、そうなるかどうかも疑問としている様だ。結果として、鉄道が開通して「暴動」が起こったという事実はある訳で、それが過渡期の矛盾だとしても、チベット人の「記憶」には刻まれる。著者は「侵略鉄道論」を批判する一方、ただ風光明媚な写真だけで構成されたチベット鉄道本にも不満がある様で、技術屋さんの常としてチベット鉄道を評価したいというところがあった様だ。これは「神舟号」騒ぎの時の毛利さんのコメントにも通じるものがあった。案外、この本はアメリカ人が書いた邦題が「超訳」な「チベット侵略鉄道」同様、中国人の「偉業」を讃えている様で、判断の手綱は読み手に渡すという高度なものなのかもしれない。

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