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2009年10月31日Sat [02:24] ドイツ | 本・雑誌 |読書メモ  

ヒトラーの経済政策

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)

祥伝社 2009-03-27
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こういう本はやはり欧米では出せないのかな。日本の「植民地近代化論」とも通じるものもあるけど、一つでも認めてしまえば、絶対的悪魔化するのは困難ということで、ナチスの功績もホロコーストという大海に沈められてしまうのである。ドイツ人は日本人と違って徹底的に反省し、謝罪しているという「神話」とは裏腹に、ナチスの遺産が戦後ドイツの復興を早めたことは、大日本帝国の工業基盤が戦後日本の経済成長を支えたという事実と同じ構図であり、「ナチスと決別した民」がナチスが築いた社会基盤に安住しているということなのである。格差社会是正の為にユダヤ人を追放したというのは逆説的だが、アメリカにしてもイスラエルにしてもユダヤ人にとって格差社会こそが己の生存圏であるという事実は否定しようもない。マジョリティの平等社会が実現したら、異分子であるユダヤ人は排除されるか、少数民族として亜流の暮らしを強いられる訳だが、ナチスの経済政策がユダヤ人の経済感覚と相容れないものであったことは考慮に値するだろう。もちろんだからといってホロコーストが許されるはずもないので、そんな陳腐な言い訳はしないが、ナチス政権誕生を許したドイツの第一次大戦後の経済危機が、ベルリン・オリンピックで頂点を迎えるまでになった事情を経済学者ではなく、ライターが解き明かさなくてはならないというのも考えさせられるものがある。別にこの辺は学術的アンタッチャブルになっている訳でもないだろうけど。

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