FC2ブログ
2009年10月27日Tue [02:14] 中国 | 本・雑誌 |読書メモ  

孫文の辛亥革命を助けた日本人

孫文の辛亥革命を助けた日本人 (ちくま文庫)孫文の辛亥革命を助けた日本人 (ちくま文庫)

筑摩書房 2009-08-10
売り上げランキング : 143954

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


著者は年輪を重ねるごとに出版ペースも加速する驚異の戦中生まれライターだが、これは92年原書の文庫化らしい。何度も歴史認識表明をしているのは当時の趨勢かな。最近は東京裁判史観にも批判的なところがあるのだが、あえて加筆修正は施さなかったのかもしれない。CC団の陳立夫に説教されての謝罪では情けないけど、当時89歳で101歳まで生きた歴史の証人のカリスマ性は職業柄、威光を感じぜずにいられなかったか。宮崎滔天の四兄弟ではなく、山田純三郎の二兄弟を主人公に据えたのは、遺族と個人的知己があったからなのだろうが、滔天が孫文を助けた日本人の代表人物として過大評価されているとみた部分がある様だ。犬養から頭山、吉田茂まで滔天以上の歴史的人物が孫文の革命にコミットした事実は公式的には中国で評価されているのだろうが、これを日中友好の象徴として扱うことには中国側も躊躇がある様だ。清水美和が解説で中国語版を是非とか書いているが、読み物として翻訳されることがあっても、日本人を主人公にした物語が公式的に認められることはないだろう。それは抗日戦争の相対化やODA隠蔽工作といった、中共の正統性を司る「解放」や「改革開放」における日本の功績隠しもあるのだろうが、現在、政権打倒の外患工作評価には慎重にならずにをえない事情を中国は抱えているとも言える。ラビア・カーディルやダライラマ14世を日本が「異民族支配打倒」を掲げた孫文と同じ文脈で支援されては中国も反撃が難しくなるし、満州国に焼き直されてしまった「五族共和」は「中華民族」とは全く異なる言説である。今や漢民族で「大陸反攻」を叫ぶ気概のあるグループは、ほとんどないが、「歴史を鑑とする」中国は内憂ばかりに気を取られてはいないだろう。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する