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2009年10月25日Sun [12:51] バングラデシュ | 本・雑誌 |読書メモ  

バングラデシュの歴史

バングラデシュの歴史 (世界歴史叢書)バングラデシュの歴史 (世界歴史叢書)

明石書店 2009-08-31
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明石の世界史叢書だけど、著者は元バングラデシュ大使。バングラデシュの前任がレバノン大使だったそうで、なんとこのシリーズの「レバノンの歴史」も同じこの著者。大使ものも数あれど、その地のプロパーでもないのに、全く違う赴任地の歴史書を2冊認めるとは大したもの。たしかにレバノンにしてもバングラデシュにしても、通史が不足というか、ほとんど日本ではなかった訳だが、そうしたところが著者を奮い立たせる一因となった様だ。英書のタネ本はナンボでもあるので、素人でも歴史書の一冊や二冊書くことは可能なのかもしれないが、著者はバングラデシュ或はインドで刊行されている歴史書、つまり「正史」をあたっている様で、従来、英国経由で日本に伝えられていた歴史との矛盾点をも指摘している。たしかに、限られた軍事力の英国があの広大なインド亜大陸を占領できたかというのは不思議に思うところで、一般的解釈のインド人が無抵抗だったとか、蕃王国の協力があったという見方は一面的に過ぎない様だ。有名なセポイの乱以外にも抵抗運動があったことは事実なのだろうが、それを強調するのも「正史」の役割とも言える。そんな複雑な「インド亜大陸史」にあって、バングラデシュ史の展開はイギリスに対する抵抗(もっともそれより前も抵抗の歴史なのだが)が終わっても、パキスタン、更にはインドに対して抵抗してきた歴史なので、あの過酷な地形とあの人口だけが現代バングラデシュの悲劇を司っている訳ではない。それでも「外敵」に対する抵抗は「国史」と成り得るが、最大の抵抗が「内なる敵」に対してであって、その構図は現在でも変わらない。独立してまだ40年経たない若い国であるが、600頁近い大著の半分くらいは独立以前の話。政争に関しては実地体験してきたことなのだろうが、それにしてもよく勉強する大使である。

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