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2009年07月24日Fri [12:02] フランス | 本・雑誌 |読書メモ  

ル・コルビュジエ

ル・コルビュジエ 近代建築を広報した男 (朝日選書)ル・コルビュジエ 近代建築を広報した男 (朝日選書)
暮沢 剛巳

朝日新聞出版 2009-06-10
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著者は美術が専門でだそうで、美術家としてのル・コルビュジエを論じている。一時は画家をしていたこともあるそうだが、実兄は音楽家で、建築も絵画も音楽も融合した総合アートがル・コルビュジエ の目指すところだった様だ。とはいえ建築以外の作品が評価されている訳でもなく、彼の評価は芸術家のそれではなく、「20世紀最高の建築家」と称されるものであろう。それも彼の尽力に関わらず、建築とアートの融合が進まなかった証左になるのだが、建築と同様、顧客の要望で描いていた絵画が、画家自らの題材で自由に表現することが主流となっていったのに対し、建築家の作家性は顧客の資材から完全に自由になることは難しい。むしろ与えられた制限内で、より独創性を発揮することが建築家の美学というべきものなのだろう。となると、建築を芸術の位置に置くには、その美学を解き放す必要もあり、思想的にも決して自由主義者ではなかったというル・コルビュジエの芸術はそこで独創性を発揮できるものではなかったのではなかろうか。上野の西洋美術館の様なハコモノもさることながら、サヴォワ邸の様な個人の住宅が代表作とされることからも、彼個人の美学が最大限に発揮される空間は如何にと思わされる。

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