2009年05月25日Mon [01:02] 東南アジア | 本・雑誌 |読書メモ  

現代東南アジア入門【改訂版】

現代東南アジア入門現代東南アジア入門
藤巻 正己 瀬川 真平

古今書院 2009-04
売り上げランキング : 726549

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


2003年に出たのの【改訂版】とのこと。この版元は地理教育をメインにしているところだから、これも教科書みたいなヤツ。さすがにその筋の本ばかり読んでいると、「入門編」では物足りなくなるのだが、あえて一つだけ良さげのをあげると、12章の観光かな。ツーリズムと文化人類学者との軋轢は今に始まったことではないのだが、タイの少数民族観光をケース・スタディに問題提起がうまくなされている。演出された「秘境の少数民族」に満足するツーリストを皮相的に眺めているのだが、それは自らの文化を演じる少数民族も、偽りの演出をする旅行社も三者三様にむなしさを感じるものである。少数民族が自身の文化を失いタイへの同化が顕著であれば、こうした「演技」の中から「エスニック・リバイバル」が生まれる余地があるのだが、残念ながらというか、幸いにもというか、未だに搾取を背景にしたオリエンタリズムの切り売りの段階である。その消費者である我々に突きつけられるのは、それでもツアーに参加すれば、少数民族の生活改善に貢献できるのではないかという命題だが、彼らもまた資本主義に生きていることは忘れてないだろうか。資本家が労働者を支配するのは世の常であるが、先進国で保護された「少数民族」が得ている様な「事業権」を彼らが保持している訳ではない。資本家の資本は常に回収される資本である。エコ・ツーリズムはそれ自体偽善ではあろうが、その理念は自然より先に人間に対して適用されるべきではなかろうか。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する