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2009年02月05日Thu [10:24] サウジアラビア | 本・雑誌 |感想  

王様と大統領 

王様と大統領 サウジと米国、白熱の攻防王様と大統領 サウジと米国、白熱の攻防
佐藤陸雄

毎日新聞社 2007-11-16
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この邦題はいいセンスしてると思うが、原題は「THICKER THAN OIL」。『フォーリン・アフェアーズ』を出している「外交問題評議会」にいた人が著者で、それをたまたまワシントンの書店で目にした元毎日記者の「国際塾」主宰者が翻訳したというもの。400ページ超の翻訳モノは結構辛いのだが、かなり秀逸な出来のサウジ現代史になっていて面白かった。アメリカとサウジの関係は、マイケル・ムーアのせいなのか、ブッシュ家の内輪話みたいなものに収斂されがちなのだが、この二国関係が湾岸戦争以前から国際政治の表舞台も裏舞台も動かしていたことが、よく分かる。それまでにサウジが、アメリカの最強のキャッシュ・ディスペンサーとして機能していたことは、90億ドルのトラウマから未だ抜け出せない日本などは話にならないバラマキぶりからも覗える。とはいえ、イギリスも、ナセルも、ホメイニも、カダフィも、サダム・フセインも、アメリカの力無しでは、その挑戦を退けることは不可能だったろう。アメリカの代理としてかつては台湾、韓国、コントラから、ムジャヒディン、UNITAまで世界中の「反共勢力」に膨大な援助を送り続けたのも、アメリカと持ちつ持たれつの関係があったことに加え、「反共」という国是が有効だった時代の税金みたいなものなのだが、冷戦が終結しすると、アメリカはソ連の援助もサウジに肩代わりさせるのから、アメの極悪商人ぶりも徹底している。日本も腐れ縁でロシアにカネをふんだくられたのだが、湾岸戦争の時、ゴルビーは40億ドルの無心をアメリカ経由でサウジに無心したらしい。さすがにサウジがソ連の余剰ハムを買ってポーランドに供与させるという企みは、駐サウジ米大使が、豚肉を買わすのだけは、よしてくれと頼んで破談になった様だが、タチの悪い友人との縁を切れないのは、アメリカもサウジも同じということである。そのしっぺ返しが、9.11以降にまたやってくるのだが、こうなると、ビン・ラディン・カードは、反体制カード、人権カード同様、アメリカが糸を引いているのではないかという気もしてくる。原油が高騰したお陰でロシアもひとり立ち出来たし、サウジから武器の代金も回収できるというものだ。次の戦争はスーダン辺りになるんだろうが、ここもサウジの使い勝手がよさそうだね。

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