ボクらの京城師範附属第二国民学校 ある知日家の回想 (朝日選書 845)ボクらの京城師範附属第二国民学校 ある知日家の回想 (朝日選書 845)
金 昌國

朝日新聞出版 2008-08-08
売り上げランキング : 243098

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


この著者は前著「韓国人が知日家になるとき」が大変面白かったので、次作が出ないかなと待っていたのだが、ようやく出た。今度は朝日選書か。やはり読んでる人はいるもんだ。平凡社が第二弾を出さなかったのは、あまり売れなかったからかな、何でも日帝時代の子どもの眼で見た学校生活が面白かったという声があって、その証言が貴重だという話で、前著の再録を含め、この時代のことを中心にしたとのことだが、やはり、京城からの引揚者の間に反響があったのだろう。私などは戦後の話の方が断然面白かったのだが、この辺も最近のノスタルブームに沿ったものなのかもしれない。ということで、国民学校の生活を前著より詳しく、同級生や教師の消息を交えて綴っているのだが、この人は本当に上手い。とても戦後十年以上も日本語とは無縁に過ごしてきた人とは思えないのだが、やはり、ある時期から急に日本語小説を集中的に読む様になった効果が現れているのだろうか。その辺の事情は前著に書かれている通りの興味深いものなのだが、それ以上に長年、教師という職にあって、人間観察力も人に物事を伝える力も養われたことが関係しているのかもしれない。抵抗史観からも贖罪史観からも自由に、こう伸び伸びと肩の張らない「日帝時代」を描ける人は日本にも韓国にもそういないだろう。著者としては大変な苦労をしたという認識はあって、事実、そうした点も色々と書かれているのだが、それが陰湿な印象を全く受けないのも著者の人柄であり、筆力のなせる業だと思う。出版サイドとしては戦前でという意向だった様だが、光復後の話も前著に書かれていなかったを中心に、今回も興味深い話が満載である。現在の日本と韓国の英語事情の相違が生じた背景の証言も貴重なものだ。そんな著者でも李承晩時代は教壇に立って「反日教育」をしていたという。著者としては、子どもの時に「軍国少年」であったのも、解放後に「反日教師」になったのも、自然なことだったのだろう。根が真面目な人だとも思う。日本のイメージが「日帝」ではなく、ポケモンやうどんだという子どもたちにボランティアで日本語を教えているという現在は「知日家」の著者にとって、ようやく訪れた幸福な時代なのかもしれない。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する