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2008年10月18日Sat [22:06] ミクロネシア | 本・雑誌 |感想  

南海漂蕩 

南海漂蕩―ミクロネシアに魅せられた土方久功・杉浦佐助・中島敦南海漂蕩―ミクロネシアに魅せられた土方久功・杉浦佐助・中島敦
岡谷 公二

冨山房インターナショナル 2007-12
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冨山房の本も珍しいけど、副題に「ミクロネシアに魅せられた、土方久助 杉浦佐助 中島敦」とあって、中島以外の人はよく知らなかった。著者は美学畑の人らしく、そこにランボーやゴーギャンと重ねあわせたりしているのだが、西洋には西欧文明を否定して、南方の「楽園」を目指した芸術家は枚挙にいとまがないとのこと。その背景には、ユートピア思想であったり、帝国主義の勢力圏といった、西欧文明の勝手な論理もあるのだが、同じ様に南洋を勢力化においた戦前日本には、そうした例はあまりみられないとしている。「野蛮」を裏返しして、「理想」に転化させた西欧人に対して、「野蛮」と「文明」の差異に無頓着であった後発帝国主義の日本人の芸術家という図式で捉えることも可能かと思うのだが、「芸術」そのものが、西欧文明を模倣することであった時代においては、「野蛮」は発見するということは、自分たちを発見することであったのかもしれない。その少ない系譜の代表的な人物がこの3人ということなのだが、それも、芸術的動機というより、あくまで個人的事情があっての渡航といった感はある。少なくとも、当時の事情においては、作品なり記録が残っている人たちというのは、公的な評価があった人たちということであろう。まだまだ「野蛮」を実践していた人が埋もれている可能性はあると思う。

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