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2008年10月18日Sat [11:55] 香港・マカオ | 本・雑誌 |感想  

評伝 王増祥

評伝王増祥―台湾・日本・香港を生きたある華人実業家の近現代史評伝王増祥―台湾・日本・香港を生きたある華人実業家の近現代史

勉誠出版 2008-02
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この王増祥という人の本は中身が強烈に独善ぽかったので、何年も積ん読になっている。証券会社から研究職に転じた人が書いたこの評伝を読んでから、やっとそのことを思い出した始末なのだが、それでも本人の告発本を読み返す気にはとうていなれない。この老人は残り少ない人生を日本の証券会社との闘いに捧げる覚悟だそうで、これまで、アメリカのロビー活動などで総額六十億円!も費やしたのだという。株式市場の現状をみると、その執念も決してムダではなかったと思われるのだが、残念ながら、この本を以ってしても、日本で王増祥の戦いに同情を示す者は数少ないだろう。もちろん、それは金融機関への支持を表すものでも決して無いのだが、それは彼が理解する通り日本人の排他的心理というより、金持ちに対する心理的抵抗感といったもので、お金持ちは無条件で偉い人とされる華人社会とは根本的に違いがあるのではないかという気がする。著者はその華人社会に片足を突っ込んでいる人なのだが、王増祥との距離の近さや、本人の抵抗感を理由に、評伝を出すこと躊躇した様だ。それは著者が証券会社出身で、もう片足は日本にあるということでもあろうが、同情こそあれど、同じ台湾人を親に持つ村上世彰がみせたような王増祥に対する共感は、著者にはあまりない様に感じた。ありとあらゆる手法を使って日本社会の閉鎖性を告発する王が評伝には乗り気でなかったのも、その辺の事情があったのかもしれない。邱永漢なども書いていることだが、戦後の混乱期に大儲けした「第三国人」が、差別云々を語っても、それは説得力があるものではないということもあろう。十八歳の億万長者の話や香港ダラーの狂騒も何か寓話の様に思える。

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