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2008年07月31日Thu [11:21] ロシア | 本・雑誌 |読書メモ  

強権と不安の超大国・ロシア

強権と不安の超大国・ロシア   旧ソ連諸国から見た「光と影」 (光文社新書)強権と不安の超大国・ロシア 旧ソ連諸国から見た「光と影」 (光文社新書)
廣瀬 陽子

光文社 2008-02-15
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遂にこの著者も新書進出と相成ったか。研究者としては新書は業績にならんのかもしれんが、とりあえず名声を得ている証ではあろう。デビュー作を読んで期待した身にとっては、「知るための」に次いで新書とは感慨深いものがある。いつの間にか外大の准教授に出世したいたのだが、数少ないこの地域の研究者として、政府関連の仕事も多くこなしている様子。そうした「在外調査」のおすそ分けみたいな形での、「旧ソ連」報告なのだが、その分析もさることながら、「命がけ体験」のコラムがあちこちで評判を呼んでいるみたい。前のネパール人少女ものでもそうだったが、女性の在外調査には危険という壁が常につきまとうことは通関させれる。時に女性は男性より便宜があることもたしかなのだが、著者が持ちこたえられた理由は、現地の人のホスピタリティなんていうものではなく、研究者としてのプライドではないかと感じた。旧ソ連の記憶より、その後の混乱の記憶の方が鮮明な世代かと思うのだが、冒頭でCIS諸国の「ソ連懐古主義」、「親露感情」を語り、後半で「ロシアKGB体質」を批判するのも「ソ連」の亡霊から、この地域が未だ解放されていないことを表しているのだろう。東欧や中欧圏では「ヨーロッパ」「EU」という寄りかかれる新天地があったのだが、CIS諸国は構造的に頼れる大国はロシアしかない。戦後日本がソ連とか中国国民党に占領されることなく、米国によって「民主化」されたことは不幸中の幸いであったのだが、そもそも連邦崩壊をロシアが主導してしまったことが、擬似ソ連の継続されることになった所以ではなかろうか。擬似ソ連で「親日感情」がどれだけ効果的なものなのかは分からないが、少なくとも反露感情の裏返しとしての、親日感情ではなかろう。しかし、村上春樹の影響はあっても、杉原千畝の影響はないんじゃないの。

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