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2008年07月27日Sun [12:10] キューバ | 本・雑誌 |感想  

世界がキューバ医療を手本にするわけ

世界がキューバ医療を手本にするわけ世界がキューバ医療を手本にするわけ
吉田 太郎

築地書館 2007-08-10
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長野の農業大学校勤務という著者は、これまで農業分野でのキューバ礼賛本を2冊出している人らしい。「サトウキビ刈り」のOBかどうかは分からぬが、色々と批判があったのだろう。独裁体制の国のデータなど信用できないと言われることをかなり気にしている様だ。その点、医療は農業よりも、世界的評価が確立している分野であることは事実。元々、ラテン・アメリカでは医療といえばキューバというイメージがあったのだが、最近はマラドーナとか、アメリカの医療体制を批判したマイケルムーアの映画などもあって、それが世界的にも知られる様にはなった。パキスタン地震とかインドネシア津波の災害にまで、医療団を派遣しているとは知らなかった。なんでも女性医師が多い為に、女性患者に対するケアができてイスラム圏では歓迎されているのだという。当然、この取材もキューバ大使館のアレンジではあるのだが、政府がわざわざ日本で宣伝する必要性は高くはないので、未だに数多く存在する「キューバ・ファン」に支えられての出版なのだろう。ソ連、中国、北朝鮮、ベトナムと日本の「近隣社会主義国」は崩壊したり、変節したり、堕落したりで、日本の純粋左翼の行き場がすっかりなくなってしまったのだが、南米の左旋回などをみてると、今や「社会主義の祖国」の座はキューバであると言って過言ではなかろう。その看板が「医療」にあることは、「帝国」に対する優位性を主張する上でも重要なことなのだが、実質、ドル経済が支配することになった社会においては、ソ連末期や一昔前の中国で起きた様な、医者の月給はタクシー運転手の日給に及ばないという現象も生じているらしい。医師免許の壁はあるが、医師という職業も、スポーツ選手や音楽家同様、亡命すれば何十倍も稼げる仕事なのではあろう。そうした誘惑の防波堤になっているのが、医師としての自尊心や愛国心だとは思えないのだが、日本の勤務医の様な過重労働とは無縁で、キューバという社会で生きていくには安定した生活を保障されているということなのだろう。データが信用できるかどうかは別としても、その収支がどうなっているかは、やはり不明である。代替治療にも力を入れているらしいが、説明がつくのは人件費くらいか。

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