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2019年09月16日Mon [19:18] 中国  

夏目漱石の見た中国

夏目漱石の見た中国 『満韓ところどころ』を読む
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『満韓ところどころ』はポリコレ的には漱石もまた差別主義から逃れていない証左という評価になるんだろうが、中国でも韓国でも、何の因果か日本文学研究の世界に身を投じてしまった者にとって、漱石を否定するのはハードルが高い。特に中国では日文系のテキストに使われることが多いのだが、よく考えてみたら、日本の国語教科書もそうなのだから、漱石作品が日本文学の代表的存在になるのは必然でもある。そうしたこともあり、研究者として日本文学と対峙した場合、漱石の中国観と日本人の中国観のパラレルはよく選ばれているテーマと言ってよかろう。『満韓ところどころ』でやってしまったのは時代の精神であったか、本心であったかは日本人は中国人を侮蔑しているという中国、韓国、左翼の前提とも絡んでくるが、この辺を日本人という属性の問題にしているところに限界はあるのだろう。漱石の頃の文人は漢文にも通じていたから中国に対して少なからずの尊敬の念があったと思われるが、そうした幻想の中国と現実に見た中国とのギャップというところに『満韓ところどころ』の本質があるのだろう。それは「新中国」の現実を見た戦後派にも共通するところがあると思うが、今の中国を「先進国」と捉える人たちにも起こりうることかもしれん。

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