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2019年05月11日Sat [03:49] 韓国  

家の歴史を書く



これが河出だったら、在日に求める「正しい歴史」の物語であったのだろうが、筑摩は結構幅があるな。「家の歴史」としたのは「個人の歴史」を「正史」に押し込めた集英社新書のあの2冊のアンチテーゼにも思えるが、著者はそれらの先行作品に違和感があったのかもしれない。別に強制連行ではなく密航の事実を詳らかにしろとは全く思わんのだが、どこかしら世間の「正史」に対する不信感が現在の「嫌韓」の背景にあると気付かされたのだろうか。活動家の家に生まれ、その属性を運動に利用させる人たちに疑問が生じたらしい。日本学校出や母親が日本人という「負い目」がある在日は大学でエスニックリバイバルし、「留学同」とかで先鋭化したりするパターンがあるが、『ぜんぶ、フィデルのせい』的環境で育った著者にはそういうことはなかった様だ。つまるところ、在日も千差万別であるのだが、左も右も在日はこうだという固定観念に取り憑かれているから、一方のステレオタイプを一方のステレオタイプで批判しているだけである。戦争も植民地も家の歴史にとっては背景に過ぎず、背景より対象を優先させて見ることで、「在日」という背景を脱構築できるのかもしれん。

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