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2018年11月20日Tue [13:02] ブラジル  

ブラジル映画史講義 



455頁もあるから、文字通りの映画百科みたいになっているのかと思ったのだが、実際に批評として取り上げられているのは数作品だけである。「黒いオルフェ」から入って、「リオ40度」、「黒い神と白い神」、「アントニオ・ダス・モルテス」といったシネマ・ノーボの代表作であるのだが、日本でもヒットした「セントラル・ステーション」とか「シティ・オブ・ゴット」といった近年の作品にはブラジル性が欠如しているので取り上げないとのこと。海外の映画批評家が「七人の侍」とか「東京物語」こそ日本の映画であり、最近の映画は日本性が欠如しているとかしたら、それこそオリエンタリズムなのだが、日本人が黒澤や小津こそが日本だと思わないのと同様に、ブラジル人がグラウベル・ホッシャをブラジルだと感じるかは別問題。シネマ・ノーボの評価は日本の松竹ヌーベルバーグみたいなものだから、ブラジル社会を反映させたものというより、非現実的な世界であるのだが、混血性礼賛はある意味、今福の心の師であるレビ=ストロース以来のブラジルのステレオタイプではある。それ故、海外の評価基準はそこに来る訳だが、あえてブラジル人を一般化して混血性がアイデンティティとして根付いているのかというとそうではなかろう。ネガティブではなくポジティブに捉えることがポリコレではあるが、ブラジル性をそこに帰結させてしまうと、オリエンタリズムの粋からは逃れなれない。

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