2006年11月15日Wed [22:52] 中国 | 本・雑誌 |本の紹介  

検閲された手紙が語る満洲国の実態 

検閲された手紙が語る満洲国の実態検閲された手紙が語る満洲国の実態
小林 英夫 張 志強

小学館 2006-05
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小林先生の満洲シリーズもこれで何冊目になるのだろうか。例によって、これも「新資料」がベースになっているのだが、そのほとんどを依拠している中国の档案館の档案開発利用処処長という人を共編者にクレジットしている。こういう本がSAPIOの出版社から出るのも意義のあることなんだろうが、かつての「検閲された手紙」は60年以上過ぎた現在になっても、「官」によって「検閲された手紙」の立場にあることを窺わせる。なお執筆しているのは小林先生の研究グループである様で、それぞれ自分の研究テーマに合った「資料」を用いているのだが、「検閲された手紙」をずらっと並べ解説を施すというスタイルは共通している。それにより、比較的原典第一の客観的考察に成功しているのだが、それも憲兵隊作成の「検閲月報」というタネ本によるところが大きい様だ。まあいずれにしても現在でもメールというカタカナ語になった私信をも検閲している国で、かつての「検閲」の悪行を見るというのも、考えてみれば皮肉なものだ。しかし、メールならば対応ソフトで一網打尽にしてしまうことが可能かと思うが、それに比べ、当時の検閲の何と大変なことよ。しかも日本語以外にも、漢語、朝鮮語、ロシア語、ドイツ語なども検閲していたというから、暴力的なイメージしかない憲兵隊もマルチな能力が必要とされていたということであろう。そこに東亜同文書院とか、ハルビン学院出身者の出番があったらしいが、今やそうした能力が国家レベルで育成されることはない。一昔前、中国の大学生の外国語専修者の勉強には鬼気迫るものがあったが、そうした中から「お国の為に」働く者がスカウトされていると聞いたことことがある。まさか上海の某クラブの小姐にそうした履歴の者が混じっていたとは思えないが、やはり「なんでもあり」である国に情報戦で勝つことは不可能であろう。

Re Comments.

この本の裏表紙とその見返しの写真をよく見てください。
土中に廃棄状態だった検閲月報の用紙に、
土中成分の浸透が全く見られないのは不自然です。

また、p54に「各地の憲兵隊がそれぞれ作成した『検閲月報』を
憲兵隊間で回付していた」とありますが、
そのような少部数の内部秘密文書を、当時、活字印刷したでしょうか。
ガリ版刷りならまだわかるのですが。

その活字の並びについて、漢字もカタカナも、広めの等間隔の枡目に入っています。

活字文字デザインに詳しい会社があります。そのサイトを見ると、
活字の字形デザインも、空間処理の方法も、時代性や地域性、
印刷会社の特徴というものがあるようです。

こういう印刷物は、現代日本では見ることがない、というのは確かです。
戦時中の満洲では、このような印刷があったかどうか、
専門家に聞けばわかるはずなのですが。

裏表紙の見返しには、資料を見ている編者たち二人の写真があります。
それを見ると、1ページがA4版くらいの、結構大きなもののように見えます。

その1ページの大きさから考えると、並んだ活字が少なくて、空間が広く、
戦時中にしては、紙の使い方が無駄に見えます。(現代でも無駄に見えます)

『検閲月報』は、偽作ではないでしょうか。
2017/05/10(Wed) 14:00:44 | URL | 亀甲紋さん #0h0wDtQw[ Edit.]
> この本の裏表紙とその見返しの写真をよく見てください。
> 土中に廃棄状態だった検閲月報の用紙に、
> 土中成分の浸透が全く見られないのは不自然です。
>
> また、p54に「各地の憲兵隊がそれぞれ作成した『検閲月報』を
> 憲兵隊間で回付していた」とありますが、
> そのような少部数の内部秘密文書を、当時、活字印刷したでしょうか。
> ガリ版刷りならまだわかるのですが。
>
> その活字の並びについて、漢字もカタカナも、広めの等間隔の枡目に入っています。
>
> 活字文字デザインに詳しい会社があります。そのサイトを見ると、
> 活字の字形デザインも、空間処理の方法も、時代性や地域性、
> 印刷会社の特徴というものがあるようです。
>
> こういう印刷物は、現代日本では見ることがない、というのは確かです。
> 戦時中の満洲では、このような印刷があったかどうか、
> 専門家に聞けばわかるはずなのですが。
>
> 裏表紙の見返しには、資料を見ている編者たち二人の写真があります。
> それを見ると、1ページがA4版くらいの、結構大きなもののように見えます。
>
> その1ページの大きさから考えると、並んだ活字が少なくて、空間が広く、
> 戦時中にしては、紙の使い方が無駄に見えます。(現代でも無駄に見えます)
>
> 『検閲月報』は、偽作ではないでしょうか。

手元に無いので、ご指摘の点を確認はできないのですが、もし偽書であるなら、誰が何の為に作ったのかが争点になるでしょうね。
2017/05/11(Thu) 05:15:15 | URL | netoさん #-[ Edit.]
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