FC2ブログ
2017年08月05日Sat [05:25] 米国  

多文化アメリカの萌芽

多文化アメリカの萌芽: 19~20世紀転換期文学における人種・性・階級多文化アメリカの萌芽: 19~20世紀転換期文学における人種・性・階級
里内 克巳

彩流社 2017-05-23
売り上げランキング : 2052929

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


既出まとめらしい。文学が作者のアイデンティティの発露に依拠した作品群としたら、アメリカのマイノリティ作家は条件が整っていると言えるのだが、現在でもアングロ・サクソン文学が主流であり、その他の背景を持った作品は傍流の枠を超えたと言うこともなかろう。故に、19-20世紀の転換期文学は正に「多文化アメリカ文学」の萌芽期であり、移民の到来や社会問題の噴出などで、文学が教育や娯楽であった時代の転換期でもあったのである。黒人やインディアン、ユダヤなど様々な背景の作品が取り上げられているのだが、中国系のスイシンファーという作家は興味深い。欧亜混血だった彼女が中国風の名前を用いたのも、隆盛していたジャポニズムに対する対抗意識だったのだという。この作家の妹であるオノト・ワタンナは非日系にも関わらずジャポニズム作家として売り出しており、姉は西洋で日本の評価ばかりが高くて、中国は貶められていると感じていたらしい。中国系が欧米で寿司店を経営したり、家族の中に日本嫌いと日本好きがいたりする現在にも通じる話ではある。

Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する