2017年05月23日Tue [04:41] ブラジル  

日系ブラジル人芸術との思想

日系ブラジル人芸術と〈食人〉の思想: 創造と共生の軌跡を追う日系ブラジル人芸術と〈食人〉の思想: 創造と共生の軌跡を追う
都留ドゥヴォー 恵美里

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ドキっとするタイトルだが、日系ブラジル人芸術家が食人する訳ではなく、「日系ブラジル人芸術家」と「食人の思想」は別パート。著者は日系ブラジル人ではなく、日系フランス人である様だ。日系人に限らず、ブラジル人芸術家にとってフランスは宗主国みたいなものであるのだが、フランスが受容した日本美術の流れはブラジルにおいて、日系人芸術活動とあわせて二つのチャンネルがあったということになる。その意味においてか、日系人芸術家はブラジル人芸術家の範疇にありながら、日本というエスニック性を強調される度合いが大きいのだという。ただ、これは芸術活動に限らず、日常の社会活動においても日系人は常に日本人とカテゴライズされる訳で、在日日系ブラジル人が言うところの「ブラジルでは日本人と言われ、日本ではブラジル人と言われる」というのはそうした意味合いである。ポルトガルとかイタリアといったマジョリティのエスニックはブラジル人性をインディオや黒人との混血文化(人種ではなく、あくまで文化の混血性である)に求める必要があり、「食人の文化」すなわち野蛮性のワナビーが生じてくる。日系人芸術家でそうしたトロピカリズモに走った人たちがそう多くないのも日系人にはその必然性が無かったということか。

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