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2006年06月05日Mon [02:12] 中東/アラブ | 本・雑誌 |読書  

ジハードとフィトナ

ジハードとフィトナ イスラム精神の戦い
ジル・ケペル 早良 哲夫
NTT出版 (2005/12/23)


著者は何でも欧州を代表する中東問題専門家らしいが、その論点はわりと中立的。とはいっても、やはりフランス人らしく、米国批判と自国弁護の傾向はある。ジハードはよく知られているが、ジハードが異教徒との戦いであるなら、フィトナとはイスラームの内なる戦いのことを指すらしい。ただ、この本自体は一般向けの「プチ専門書」といった体裁なので、インティファーダ以降のアラブ世界の動きをまとめたものという感じ。関係ないが通俗小説に『女たちのジハード』なんてタイトルを付けてしまうのもスゴいものがある。最終章が「ヨーロッパの戦い」で、これは「難民」「外国人労働者」「移民」受け入れで試金石に立たされている日本には、この西欧の経験が重要な意味をもってくるだろう。同様に西欧伝統のリベラル知識人も岐路に立たされている様で、さすがにルペンなんかを支持する訳にはいかないので、ワッハーブ派やタブリークなどの「間違ったイスラーム」の犯人探しを始めている。「良きイスラーム」の方は、伝統的に左派に庇護を求めるが、「女性問題」に関しては「解放」しなくてはならなくなるので、なるべく持ち出されない様にしているというのは面白い。それにしても、シンガンスやパクなんとかが、日本人の身分にこだわったことを考えると、テロ実行犯の多くがヨーロッパ国籍であった意味も考える必要があるだろう。

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