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2006年05月20日Sat [01:52] 中国 | 本・雑誌 |読書メモ  

中国が「反日」を捨てる日

中国が「反日」を捨てる日
清水 美和
講談社 (2006/01)


さて、一周年を迎え、反日デモ本もようやく打ち止めの感が出てきた。西安事件より前に「反日本」を出していた著者は、言わばこのジャンルの先駆けなのであるが、反日バブルの末期にようやく真打ち登場といった感じである。その名に恥じず、まとめとしての出来はかなり良い。西安、アジアカップとの連続性を持たせているのも「原因」ではなく「本質」を見る眼を持った洞察力を感じる。それを江沢民一派が絡む中国の内部対立と捉えたのは「知中派」の主流的な見方でもあるが、靖国を主因とする「朝日」と愛国教育を主因とする「産経」の間で揺れ動いた日本人も東京新聞に答えを求めても良さそうだ。この問題を俯瞰して「中国側の事情」を検証するのは「日本人民的感情」を考えると難しい側面はあるのだが、「公式見解」のウラ読みをする習慣を身に付けないと、中国を理解することは不可能だ。朝日にとっては中国に責任を押し付けていると見られるだろうし、産経にとっては日本に責任を押し付けていると見られる様な本だが、どっちの責任といった永遠に決着がつかないパラドックスに陥ってしまうと、思考が停止し、打開の道も閉ざされてしまう。私がちょっと面白いと思うのは中国の民族(愛国)派が日本の民族派に興味を抱いていること。所謂「愛国教育」が生んだのは単純な「日本右翼」と「日本人民」の選別ばかりではなく、普遍的な民族(愛国)主義も育んだ気がする。文春の童増来日計画が流れたのはそれと関係あるのかどうか分からないが、中国政府にとってそれは「目にしたくない光景」であることはたしかであろう。「日本右翼」の側にも、「中国政府」と「中国人民」を区別し、かつて孫文を支援した様な大局的な思考が求められるのではなかろうか。

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