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2006年05月13日Sat [06:59] 米国 | 本・雑誌 |読書  

陸軍尋問官

陸軍尋問官―テロリストとの心理戦争
クリス マッケイ グレッグ ミラー Chris Mackey Greg Miller 中谷 和男
扶桑社 (2005/12)


アフガニスタンの米軍基地で働いた尋問官の話をロサンゼルス・タイムスの記者が構成したものらしい。これだけでこの本がどの様な目的において出版されたのか分かるというものだが、アメリカが巧みなのは、強固に否定したり、隠蔽したり、自己正当化を図ったり、或は逆ギレしたりといった疑惑に対する否定が更なる疑惑を招く未熟な国家や、独裁国家の様に「非難の声」の対処を誤らないところ。CIAにしてもその風説がバケモノみたいに膨らんでしまい、ある程度報道させた方が得策としている様だが、ことらもアルグレイブやグアンタナモの件がある以上、そのラインに沿ったと見るべきであろう。その意味では純粋なノンフィクションとはとても言えないだろうし、アメリカらしくPR会社が入っている可能性もある。その点、ジェンダーやエスニック・マイノリティーも登場し、イスラム教徒への憎悪も、愛国心を掻立てたりしないので、どの層がターゲットなのか分かりやすい。読み物としても挑戦、葛藤、挫折のポイントが押さえられており、アメリカ人なら面白く読めるだろう。我々にはちと冗長ではあるが。ところで「民間の諜報員」というのがよく出てきて、尋問にも参加したりするのだが、これはどういう身分の人なのかよく分からなかった。「民間」を装った人たちのかと思ったら、訳者(元NHKの人)も、それは注意が必要と思ったのか、あとがきで、軍部以外の情報機関は、軍人は諜報機関として認めていないと書いている。なるほど、これが噂に聞くOGAの縄張り争いか。「民間」の諜報機関に対する視線は厳しいが、陸軍もCIAに習ってソフト路線は採用したらしい。

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