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2006年05月11日Thu [11:19] 中国 | 本・雑誌 |読んだ本の紹介  

アカシアの町に生まれて

アカシアの町に生まれて―劉鴻運自伝
劉 鴻運 田所 泉
風涛社 (2006/01)


これは劉鴻運の自伝。で、劉鴻運って誰というと、戦前の大連に生まれた無名の一市民。なんでも国民学校の同級生が不遇な老後を過ごしている著者を探し当て、病気見舞いや死去した夫人の香典名目で援助をし、この自伝もその一貫として著者に翻訳出版権料が払われたのだとか。訳しているのも同級生らしいが、中国語を習ったこともなく、新聞の字面で何とか理解できる程度の語学力だとのこと。そんなもんで翻訳できんのかとツッコミたいところだが、この訳者は1958年から2005年まで新日本文学会会員という人なので、同級生という以上に、思想的にも相通じるものがあったのだろう。50年近く属した会をなぜ辞めたのも気になるところだが、著者の方に話を戻すと、それなりに波瀾万丈の人生を送ってきてるのだが、例によって中共史観がベースなので、新日本文学会会員でない者にはちょっと辛い。日本人に受けた差別とか、杉元節子への恋心はしつこいほど書かれているが(ほとんど老人ストーカー、キモイ)、反右派闘争(9年入獄)と文革(農村下郷13年)は僅か数ページなのでエーッ!て思った。中学校に上がると、日本人の教師が無理矢理、日本国籍をとらせて日本軍人にさせようとしたなんて記述があるが、ホントにそんなことがあったのだろうか。大連は関東州だが、これは満洲国軍のことか。それで逃げて、国民党軍に加わったらしいが、いつの間にか八路軍に変わっているし、上官が殺されたので頭にきて俘虜を数人射殺したなんてことも書いている。八路軍の少年兵だった日本人も、思想を確かめるために「敵」を射殺させられたなんて書いていたが、やっぱ八路も「人民の敵」をバンバン殺してたのは事実。まあ銃口から生まれた政権がまだ続いてる以上、それは虐殺とは呼ばず、「英雄的行為」のままなんだけどね。

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