2016年11月27日Sun [05:23] 中南米  

ラテンアメリカ文学入門

ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで (中公新書)ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで (中公新書)
寺尾 隆吉

中央公論新社 2016-10-19
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最近、マリオ・バルガス・リョサの自伝を訳した人か。読もうと思ったけど、2段組みで500頁くらいあって、フジモリに敗れた1993年の本というから、躊躇してしまった。この新書は200頁くらいで入門だから良い塩梅。カストロが亡くなった日でなんだけど、前半で「魔術的リアリズム」までの流れと、終盤でイザベル・アジェンデやボラーニョの新世代を紹介する以外はキューバを巡ってのラ米文学者バトルロイヤルみたいな話が続く。ラ米にプロレタリア文学が根付かったのも、読み手が非識字で、書き手がブルジョアという致命的な構造があったからかと思うが、その穴をキューバ革命が埋めてきたというところはあったろう。バルガス・リョサのガルシア=マルケスへのパンチ事件やパディージャ事件といった象徴的なバトルがあったのだが、いずれも特権階級文士の政治痴話である。スペイン語は日本語より言語人口が多いのだから、世界的知名度がある作家が専業で食えないというのもおかしな話であるのだが、魔術的リアリズムといった難解な文学がラ米文学の代表となったのも、書き手が大衆のニーズとは別のところで勝負したからである。ラ米作家に多い外交官という職は食い扶持より名声を維持するツールという側面があったのではなかろうか。

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