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2016年10月25日Tue [05:32] 台湾  

台湾とは何か

台湾とは何か (ちくま新書)台湾とは何か (ちくま新書)
野嶋 剛

筑摩書房 2016-05-09
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台湾に対して思考停止になるのは中国というモノサシが作用しているので、そうした見方を改める必要性を訴えているのは同意だが、著者もまたそのモノサシだけで中身を埋めてしまった観も。衝撃的な告白もある。著者が社内留学制度で台湾を希望し、上司の了承も得て、台湾大からの入学許可も得たところ、「上層部」に認められず、中国留学に変更させられたのだという。その際の理由として示されたのが「日中記者交換協定」だったそう。今はそんなものは存在しないという「まぼろし派」が左翼界隈では優勢みたいだが、1998年の段階では公式的なものであったのか。とはいえ、朝日が親中であるから、台湾報道ができないという見方は否定し、退社後も朝日愛を発揮しているのだが、著者並びに朝日が台湾のメインアクトとするのは日本で後退した「進歩派市民」であって、これが国民党ではなく、民進党と合致したに過ぎない。沖縄の独自性を主張する運動圏が、なぜ台湾の独自性を認めないのかというのは全くの同感だが、台湾の独自性を著者が認めているかどうかは、本土派にとっては疑問が残ることころであろう。台湾と中華を切り離すことは不自然ではあるのだが、台湾の独自性を中華と切り離したところに見出す人たちも尊重すべきだろう。原住民文化に全く言及しないのも逆に不自然に思えた。ただ、朝日と台湾もそうだが、日本と台湾との関係史では中国は不可分の要素であるので、その辺の複合的説明は満点に近い。

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