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2005年11月16日Wed [13:57] サウジアラビア | 本・雑誌 |読書メモ  

サウジアラビア 

4004309646サウジアラビア―変わりゆく石油王国
保坂 修司

岩波書店 2005-08
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9.11以降、わりと地味な存在だった中東研究家たちが一躍、お茶の間にお馴染みの顔となったが、イラクプロパーの大野さんや酒井女史に負けず劣らずメディアに登場したのがこの著者。サウジアラビアで政変でもあったら、リヤド現調組の著者は一気にトップの座を奪いそうだが、この本を読むと、その可能性は非常に小さいことが良く分かる。著者は幾つかその理由を挙げているのだが、王族の数が2万人を超え、反対部族が壊滅された中で、王族の中で政治を動かす自民党政治にも似た支配を確立している点は良く知られている。しかし、著者のスタンスとしてはサウジアラビアのマス・イメージを問い直すところにある様で、いきなりスラムの存在や、「ワッハーブ派」が実は「ワッハーブ派とされるもの」であることを明かしたりと、興味深い切り口から始まる。運転の禁止に代表される女性「差別」の問題や、外国人が圧倒する就労人口の中で、深刻化する「サウジアラビア人」の失業問題は、事例を多く用いて、その本質に迫っている。また「民主化」がある程度進んでいることも明らかにしており、前回の選挙は別にサウジ初の選挙という訳でもなかったらしい。「民主化」によってリベラルが後退して、逆に強硬派の影響力が強まったというのは興味深い。また、ムスリム同胞団系が教員として多く入り込み、サウジの教育に影響を与えていたとは意外だ。その教科書の内容はトンデモないもので、オサマ・ビン・ラディンもここから始まったのかもしれない。ただ、他国の教科書に圧力をかけて政治カードとする様な特殊な文化は、この辺にはない様だ。

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