![]() | 北の民の人類学―強国に生きる民族性と帰属性 煎本 孝 山田 孝子 京都大学学術出版会 2007-01 売り上げランキング : 481749 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
横書き論文集。京大出版会だが、京大関係者は一人だけで、みんぱくとこの分野をリードする北大関係者が多い。北の民といっても、定番のアイヌ、イヌイットや極東ロシアはもちろん、満洲族にモンゴルまで入っている。満洲族と内モンは留日博士の執筆だが、本人の民族は不明。漢人との関係性が重要なテーマではあるが、満洲族も内モンでは、民族主義者としてもこれを避けて通ることはできないだろう。「モンゴルの文様」の執筆者は名前からして蒙族(この表記は一部では差別となるらしい)なのだが、こちらは博物館の展示物の解説みたいで、あまり面白くないのだが、こうしたテーマは政治的に無難ではある。イヌイットはやはりアイデンティティ問題がメインで、都市イヌイットには興味深い動きが見られるのだが、こうしたアイデンティティの問題が顕在化するのも、確立された民主主義と自由主義社会という条件が必要なのであろう。その辺りはサハやデニス・ウザーラの事例と比較してみると面白い。ソ連という共同体では事実上、その構成が多民族である「ロシア人」が極北の地で特権化することはなく、むしろ先住民に学ばない限り生きる術がなかった点は留意すべきだろう。中国みたいに「少数民族」として国家に認定されたり、カナダみたいに「先住民」として国家に保護されることもない極北ロシアで、民族問題が噴出していない(様に思える)ところは興味深い。
































