世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ ヨーロッパの庭園 
2008年06月10日 (火) 22:01 * 編集 *
ヨーロッパの庭園―美の楽園をめぐる旅 (中公新書 1934)ヨーロッパの庭園―美の楽園をめぐる旅 (中公新書 1934)
(2008/02)
岩切 正介

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これは「カラー版」でやってくれないと、私の様なトーシロには楽しめん。もっとも、「ガーデニング」っていう西洋庭いじりが好きな方々も、ここまで壮大なマネの出来る人はそういないだろうから、ターゲットは西洋史の人たちなのかなあ。著者はドイツ文学辺りが専門とみたけど、庭園は建築とか音楽、文学と並ぶ一つの芸術だそうだ。それは、まあ日本でもそうなんだろうが、大衆の芸術としてはハードルが高い。ここに登場するのも、王様がその財にものを言わせてみたいな話が多い。それでも「素人造園家」と呼ばれる一群もいて、少しづつ、素材を集めてはせっせと生涯かけて、庭園作りに勤しむ人たちがいたのだという。そういう中から名作も生まれているらしいが、やはり素人の道楽としては金も時間もかかる効率の悪いものではないかとも思う。その点、やっぱ図書館廻りが素人の道楽としてはコスト・パフォーマンス的にも最高だね。と自己弁護。
# * ヨーロッパ * Comment (0) * Trackback (0) *
■ スリランカと民族 
2008年06月10日 (火) 12:44 * 編集 *
スリランカと民族―シンハラ・ナショナリズムの形成とマイノリティ集団スリランカと民族―シンハラ・ナショナリズムの形成とマイノリティ集団
(2006/03)
川島 耕司

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「スリランカ」と民族というと、単純にシンハラとタミルの血を血で洗う抗争を思い浮かべてしまうのだが、こういう本が出てきてくれると、その二項対立の影に複雑な論理が隠されていることが分かるので助かる。著者は「シンハラ・ナショナリズム」を中心としてスリランカの民族問題を論考しているのだが、その「敵」が、キリスト教、ムーア人、マラヤーリ人と変化し、植民地時代、プランテーションの中で働いていたタミル人とシンハラ人は、あまり接点がなかったという。キリスト教という「他者」の出現がシンハラ・ナショナリズムの創生に影響を与えたとすれば、今日まで続く民族紛争は西欧が持ち込んで、西欧が育て、残していったものと言えるのかもしれない。日本でもよく知られている(かな?)バンダラーナーヤカ家は植民地時代のキリスト教貴族の家系だったが、シンハラ・ナショナリズムに傾倒するあまり、仏教に改宗したのだという。そのシンハラ・ナショナリズムはアーリヤ主義と結び付けられ、ドラヴィダ系への差別にも繋がっているらしい。シンハラ人がアーリア人種だったとは迂闊にも知らなかった(というか真偽は不明)が、当時の指導者にはヒットラーに傾倒したものもいたという。傍からみると、肌の色もそんなに変わらんような気もするのだが、まあ、人種の概念などは極めて主観的なものだろう。しかし、現在のシンハラ人が悩まされているのは、マジョリティーだが、マイノリティーな不安なのだという。どういうことかというと、インド6億8千万の人口と、インドのタミル人人口約5千万に言い知れぬ圧力を感じているのだという。言わば日本の人口の18%が中国人である様なものなのだろうが、この辺はアーリヤ主義ではなく、インド=タミルという図式なのかもしれない。仏教徒と人種主義というのも似合わぬ組み合わせだが、もしかしたら、インドで滅びた仏教を守り続けているという点においてアーリア人の自負があるのかもしれない。なんだか、どこかの国みたいな「小アーリヤ主義」的な話だけど。
# * スリランカ * Comment (0) * Trackback (0) *
■ アメリカン・コミュニティ 
2008年06月10日 (火) 00:57 * 編集 *
アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所
(2007/11)
渡辺 靖

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この著者はボストンを「文化人類学的」にフィールドワークした第一作で、サントリー学芸賞とかの華々しいデビューを飾った人と記憶していたのだが、これは新潮の季刊誌に連載された頼まれ仕事らしい。その為、「研究」ではなく、「取材」という形で、短期の出張を繰り返したようだが、著者の次の研究テーマを探す旅の様な感じもした。「キリスト原理主義」や「ゲーテッド・コミュニティ」、「刑務所の町」はいかにも現在のアメリカを象徴させるテーマなのではあるが、ブッシュ退陣までの時間切れになりそうだし、やはり、ここは「地元」のボストン続編か、「ビッグスカイ・カントリー連帯する農牧業」なんてトコが時期的はホットなものになりそうだ。その中で異色なのが「アメリカン・サモア」なのだが、文化人類学学徒としては、ミードの「作品」の舞台になった「聖地」はやはり見ておきたかったのかもしれない。その後にミード批判が「定説」になってしまったこともあり、東サモアの現状を論ずる書物を日本語では、あまりお目にかかってないのだが、著者が書いている通り、交通不便、運賃高、心身共の「アメリカ化」で、もはや見るべきものはナシということなのかもしれない。ハーバードを出て、オックスブリッジに研究員として行っていたSFCのスター教授だから、小熊同様、次の研究になかなかとりかかれないのかもしれないが、観光局タイアップで「アメリカン・サモア本」を一丁仕上げてみたらどうなんだろう。
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