![]() | ヒトラー、ゾルゲ、トーマス・マン―クラウス・プリングスハイム二世回想録 (2007/11) クラウス H.プリングスハイム 商品詳細を見る |
こんな人がいたとは「父親」のクラウス・プリングスハイム一世も併せて、全く知らなかったのだが、その経歴はウソじゃないかもしれないけど、やはり中身はかなり創作が入ってんじゃないかな。とにかく話が出来すぎというか、映画みたいな話なので、それは「叔父」のトーマス・マンから受け継いだ才能の様にも感じる。とにかく子どものとき、ヒトラーと「目が合って」以来、流浪の人生が始まり、戦時中は東京でゾルゲに会ったことで終戦を目黒警察の拘置所で迎え、陸軍の通訳から、進駐軍の通訳になって、アメリカ移住。マンの家に住み込み、タクシー運転手になったり、米軍に入隊したりして、大学に入り、香港で結婚し、最後は教授となった大学のあるカナダに帰化して、日加貿易協議会理事長と、この時代のドイツ人なら、あり得る人生なのだろうが、あまりにもドラマ的過ぎて、映画化を前提にして書いているとしか思えん。訳者もその辺が気にしているのか、著者を相手にご馳走を与える「当意即妙の素晴らしいスピーカー」などと評している。何でも「ボクは天皇陛下を尊敬しています」とか唐突に言われたこともあったそうで、この本も「トーマス・マン」の読者も裏切らないサービス精神の賜物かもしれない。とはいえ、著者は最後に書かれている自分の人生を証明する文献資料を並べてきていて、読者が容易に信じられないことも想定していた様だ。著者は2001年に亡くなったそうだが、原書は1997年で、当初は「ヒトラーとゾルゲに会った男」という題で「経済往来」という雑誌に連載されていたという。その雑誌が潰れて、連載も途中で滞っていたのらしいが、訳者も日本とあまり関係ない後半は端折るつもりだったらしい。それが後半に物凄い「ドラマ」が来たもんだから、これはいけないと、慌てて全訳したのだとか。しかし、まあなんというかこんな映画みたいな人生もあるもんだな。「全身歴史家」の匂いがしないでもないのだが、「新民主主義青年」とかつまらんマルクス主義の講釈なんかより、歴史家たるものは面白い物語を書くべきであることはたしか。





























