![]() | 漢方読みの漢方知らず―西洋医が見た中国の伝統薬 (DOJIN選書 6) (2007/06/01) 吉田 荘人 商品詳細を見る |
化学同人の「土人選書」はこんな本も出していたのか。副題は「西洋医が見た中国の伝統薬」で、これも医者が書いた本。この著者は上海医科大学客員教授も務めたという人で、中医にも造詣が深い人の様。「蒋介石秘録」なんて本も書いているみたいだが、これは「かもがわ出版」か。思想にも大陸派なのかもしれない。そのことが関係しているのか、「化学同人」なのか分らぬが、思い切った漢方薬批判を展開している。なんでも中国、台湾でも「中医」の利用率はかなり低いそうで、若い医師ほど西洋医学を選択することが多いのだそうだ。中国政府が中医と西医の割合を均等にしようとしている点にも批判的で、科学的根拠のない中医より、医者も患者も西医を選択するのは当然だとしている。そうした漢方の祖国の状況にも関わらず、日本で漢方に副作用がないなどという「伝説」がまかり通っているのは許せないらしい。日本で処方される漢方薬は、その実、エキスを抽出しただけの化学製品であることは事実なのだが、所謂、民間療法や漢方信仰の危険を存分に指摘している。しかし、クスリをやたら出す医者は信用する必要はないとしながら、医者の出すクスリを自分の判断で飲むのを止める患者を糾弾するのは矛盾しているのでなかろうか。自分の体のこと自分で判断するというのは正論なのだが、そこに医者としての矛盾があるのかもしれない。著者がどういうきっかけで中国と関わるようになったのかは知らぬが、中国の医学史は、あまり読む機会がないので、結構興味深かった。「中体西用」で、入ってきた西医と中医の間で、相当な戦いがあったらしく、「中医」という呼称も、その時に「国医」から改められたものらしい。非科学だとして「反西医」運動の先頭に立ったのは汪兆銘だそうで、最近の中国政府の「中医振興策」はその辺も関係あるのかと疑ってしまう。もっとも、それは自らが「西医」であった孫文の影響によるものかもしれない。孫文はその「肝臓癌の末期においても、周囲が勧める中薬を飲むのを拒否していたそうだが、汪兆銘も中医にかかっていたら、名古屋なんぞで死ぬこともなかったのかもしれない。もっとも、その場合でも、もっと悲惨な最期が待っていただろうが。





