世界読書旅
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■ 漢方読みの漢方知らず 
2008年05月13日 (火) 23:57 * 編集 *
漢方読みの漢方知らず―西洋医が見た中国の伝統薬 (DOJIN選書 6)漢方読みの漢方知らず―西洋医が見た中国の伝統薬 (DOJIN選書 6)
(2007/06/01)
吉田 荘人

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化学同人の「土人選書」はこんな本も出していたのか。副題は「西洋医が見た中国の伝統薬」で、これも医者が書いた本。この著者は上海医科大学客員教授も務めたという人で、中医にも造詣が深い人の様。「蒋介石秘録」なんて本も書いているみたいだが、これは「かもがわ出版」か。思想にも大陸派なのかもしれない。そのことが関係しているのか、「化学同人」なのか分らぬが、思い切った漢方薬批判を展開している。なんでも中国、台湾でも「中医」の利用率はかなり低いそうで、若い医師ほど西洋医学を選択することが多いのだそうだ。中国政府が中医と西医の割合を均等にしようとしている点にも批判的で、科学的根拠のない中医より、医者も患者も西医を選択するのは当然だとしている。そうした漢方の祖国の状況にも関わらず、日本で漢方に副作用がないなどという「伝説」がまかり通っているのは許せないらしい。日本で処方される漢方薬は、その実、エキスを抽出しただけの化学製品であることは事実なのだが、所謂、民間療法や漢方信仰の危険を存分に指摘している。しかし、クスリをやたら出す医者は信用する必要はないとしながら、医者の出すクスリを自分の判断で飲むのを止める患者を糾弾するのは矛盾しているのでなかろうか。自分の体のこと自分で判断するというのは正論なのだが、そこに医者としての矛盾があるのかもしれない。著者がどういうきっかけで中国と関わるようになったのかは知らぬが、中国の医学史は、あまり読む機会がないので、結構興味深かった。「中体西用」で、入ってきた西医と中医の間で、相当な戦いがあったらしく、「中医」という呼称も、その時に「国医」から改められたものらしい。非科学だとして「反西医」運動の先頭に立ったのは汪兆銘だそうで、最近の中国政府の「中医振興策」はその辺も関係あるのかと疑ってしまう。もっとも、それは自らが「西医」であった孫文の影響によるものかもしれない。孫文はその「肝臓癌の末期においても、周囲が勧める中薬を飲むのを拒否していたそうだが、汪兆銘も中医にかかっていたら、名古屋なんぞで死ぬこともなかったのかもしれない。もっとも、その場合でも、もっと悲惨な最期が待っていただろうが。
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■ アメリカ 
2008年05月13日 (火) 12:48 * 編集 *
アメリカ 村上春樹と江藤淳アメリカ 村上春樹と江藤淳
(2007/12/07)
坪内 祐三

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私もこの人は坪内逍遥の孫かと勘ちがいしていたクチなのだが、父親はダイヤモンド社の元社長で、これがかなりブラックな人らしい。とはいえ、母親は童話作家で、柳田國男とも血縁関係にあったりと、「日本の名門一族」に名を連ねていることには違いない。そうした背景と著作数が多いことは無関係でないのかもしれないが、あまり関係ない様にも思える。この本は扶桑社から出ている文芸誌の連載で、副題に「村上春樹と江藤淳の帰還」とある様に、あくまで文芸評論である。「ライ麦」と「ギャッツビー」の新訳を春樹が手がけたことは、この世界では「事件」であった様で、そのことに批判的な著者も、旧野崎訳と春樹訳の比較検討に付き合わざるおえなかった感じ。「アメリカ」というキーワードが戦後文学に与えた影響という点では、間違いはないかとは思うのだが、村上春樹がこうも世界的拡散を成し遂げてしまうと、「アメリカ」を超越してしまったことが、戦後日本文学の終焉ではないかという気もする。未だに「ポスト・アメリカ」が見えてこないのが、文学が迷走を続ける理由なのかもしれないが、100年先の未来には「ケータイ小説」が、時代の幕開けとして評価されているかもしれない。
# * 米国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 禁じられた歌 
2008年05月13日 (火) 00:47 * 編集 *
禁じられた歌―朝鮮半島音楽百年史 (中公新書ラクレ (269))禁じられた歌―朝鮮半島音楽百年史 (中公新書ラクレ (269))
田 月仙

中央公論新社 2008-02
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この著者は「南北統一」文化人の代表格みたいな人で、金日成の前で歌ったり、「朝鮮籍」初の韓国公演をしたり、韓国で「日本語の歌」を歌おうとして問題になったりと、とにかくマスコミ受けすることをやる人という印象がある。おそらく仕掛け人がいるんだろうが、どういう意図を以って動かしているのかは気にかかる。W杯の開幕式に呼ばれたのも政治的なものだろうが、例の新大久保駅の韓国人留学生を讃える歌を出したのは「拉致報道」と関係あるらしい。ということで、あまり良い印象は持っていなかったのだが、去年「自伝」を出して、小学館ノンフィクション賞というものを受賞してたそうな。その流れで、この新書ということになったのだろうが、例の「親日罪」に批判的だったり、意外と「中立的」であった。北に対しては「自伝」の方で言い尽くしたのか、控えめであるのだが、日本に対しても構えたところがない。まあ音楽家なんて「お客」を楽しませてナンボだから、間違っても「読者」を不快にさせることはしないだろう。昭和 42年頃に家にカラーテレビがあって、声楽の個人レッスンにこどもの頃から通っていたというのだから、かなり裕福な家の娘であったことは窺える。当時の朝鮮学校の教育がどうあれ、「差別」の原体験は、あまりないのではなかろうか。そうした育ちのよさが、その計算された活動を支えている様にも感じる。しかし、韓国人歌手の日本初の大ヒットという『カスマプゲ』というのは聞いたことがないな。普通は『釜山港に帰れ』だと思うけど、そうではなかったのか。
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