![]() | 私のマルクス (2007/12) 佐藤 優 商品詳細を見る |
本は読めるときには読んだがよくて、買える時には買ったがよくて、出せる時には出したらいいものであることはたしかなのだが、この月に出した本が7冊ってバケモンかよ。それでも外務省を辞めるつもりはなさそうだが、岩波と産経、マルクスとキリスト教といった、一見、水と油の様な関係に思えるものが、その実、繋がっていることを身を以って、実証している点には感服してしまう。これは『文学界』の連載ということで、文春からなのだが、この人の「自叙伝」には多くの出版社が手を挙げたことは察せられる。それにしても、70年代末期から80年代初頭の高校生とか大学生が、こんな日々を送っていたとは驚きである。現在でも、この様な尖がった学生さんは存在するのだろうが、それを受け止める社会は大幅に縮小している気がする。その意味では「佐藤優」制作工場の不在が、日本の知的環境を阻害する警笛であるという風に、この本を捉えることができるのだろう。戦前の教養主義や60年代の学生運動の最後の遺産が残っていたのがこの時代とすると、今は遺産を食い潰して、自転車操業で国を回している様なものなのかもしれない。ヨーロッパという「先生」をいつの間にか追い越してしまった日本は種まきという行為をやめてしまった。今そこに、どんな萌芽が生じているのだろうか。









