世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ 起業inチャイナ 
2008年05月07日 (水) 23:38 * 編集 *
起業inチャイナ起業inチャイナ
(2007/08)
不明

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何を起業したかというと、精密機器の工場で、正さんは長年セイコーで働いていた人らしい。諏訪の出身で、地元の工業を出で、精工舎に技術職で入ったというのだから地域のエリートだろう。後にニューヨーク勤務もして、営業に転じ、世界中を飛び回ったとのこと。そこで、香港の時計関係と付き合いが出来て、奥さんも呼んで珠海で起業と相成った様だが、時計業界という仕事柄か、腰の低さが文体からも伝わる。少なくとも「中国人は二重人格だ!」とか、「中国語で愛人は奥さんの意」といった「中国通」を吹かすような愚を晒していないので、この種の本では異色な感じがした。と思ったら、奥さんのパートになってから段々と怪しくなってきた。西安交通大学の日本語学科の女学生の言葉に感動して、中国で仕事をすることを決めたというのは、まだ良いのだが、社員が交代で担当する 5分間スピーチなるものを導入して、社員から「意味ない」と反発されたらしい。二人が帰国中に勝手に終了していたのを、説得して再開させたそうな。そのスピーチ集を翻訳して営業に持ち歩いているそうだが、なんとこの本の後半、130ページ余りがそのゴミスピーチ。2段組でびっしり詰まっていて、読むのが苦痛だった。しかし、これはスピーチさせられた社員の責任では全くない。日本では社員教育でこんなクソみたいなことしている会社があるのかもしらんが、中国人社員にとってはホントいい迷惑であったろう。朝日OBの人がやってる日本語作文大会みたいに、「反日」ネタ満載なら、まだ愉しめるのだが、これは「お仕事」だから、社長の手前ヘタなことは言えんし。なんでもトイレ掃除も社員に義務付けているらしく、ようやく中山大学からとった幹部候補生も、それが嫌で辞めてしまったのだとか。これは笑えん話だが、司馬遼太郎とか立花隆の本を読んで思うところがあったらしく、それを翻訳して、講読会に参加させるなんて、そりゃ拷問に近いものがあるんじゃないか。たしかに、かつては日本の「中国系」の会社でも「毛語録」の講読会などをやってたのかもしれんが、珠海で「KY」だと、現地法人社長が吊るされたキャノンとか、集団売春の幸輝(悪質リフォームで倒産)の二の舞を踏んでしまう危険性があるのだが、大丈夫か。ちなみに、社員は「反日デモ」など別世界のことだと言っているらしい。ふーん。
# * 中国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ ロシアの連邦制と民族問題 
2008年05月07日 (水) 12:29 * 編集 *
ロシアの連邦制と民族問題 (多民族国家ソ連の興亡 3)ロシアの連邦制と民族問題 (多民族国家ソ連の興亡 3)
(2007/04)
塩川 伸明

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岩波の「多民族国家ソ連の興亡」というシリーズの第三弾らしい。シリーズといっても、全て同じ著者が書いているので、個人の三部作という位置づけの様だ。著者によると、この三巻目だけが「ホット」の話題を扱っているとのことなのだが、テーマとなるのはソ連崩壊からチェチェン戦争が泥沼化するまでの時期だから、もはや「歴史」の一ページの時代の話である。ということは、おそらく前二冊はソ連時代の「民族」がテーマであったと思われる。現実的に「民族一般」というものはありえず、ロシア研究を長年してきた著者は、ロシアというフィルターを通した「民族」を論ずることの限界を感じているらしい。その意味ではソ連時代の「隠された」民族問題の方が、親ロシアであれ、反ロシアであれ、問題が単純化されているだけに論ずるに易なところはあるだろう。チェチェン関係の本は私もこれまで何冊か読んでいるのだが、どうにも頭の整理が付かない。カフカースの中でもチェチェンは特殊であるということは分かるのだが、この地域の本質的問題が、国家にあるのか、宗教にあるのか、言語にあるのか、部族にあるのか、民族にあるのか、利権にあるのかイマイチよく分からん。おそらくその全てを内包しているのだろうが、その辺を理解する教科書というより、ますます混乱してしまったという印象。ただ、著者が意味じくも告白している通り、ロシアの影響力というものが、考えているより巨大であるということは確かである様だ。「露帝何年」か知らんが、民族という概念すらロシアから移入したものである以上、自主独立の道は険しい。
# * ロシア * Comment (0) * Trackback (0) *
■ ネパール王制解体 
2008年05月07日 (水) 01:24 * 編集 *
ネパール王制解体―国王と民衆の確執が生んだマオイスト (NHKブックス 1075)ネパール王制解体―国王と民衆の確執が生んだマオイスト (NHKブックス 1075)
(2007/01)
小倉 清子

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ネパールのマオイストについては常日頃、時計の針を50年くらい戻したような話だなとは思っていたのだが、それを生んだ土壌に「貧困」という下地があったことは間違いないにしても、そうした単純な理解では済まされない複雑怪奇な事情があることが、この本を読むと分かる。その意味ではマオイストについての最良のテキストであるとは思うが、とにかく「複雑怪奇」なので、観光ネパールしか知らない素人はちょっと混乱してしまった。例によって、ギャネンドラ国王を「内政干渉」せずに支える中国は、マオイストについて、「毛沢東の名を汚している」などと非難している様だが、そのイデオローグは毛沢東主義というより、センドロ・ルミノーソ(著者はシャイニング・パスと表記)に感化されたものらしい。もっとも「ゴンザロ大統領」は中国で訓練を受けた経験がある訳だし、道路建設(中尼公路か?)でネパールに来た「中国人労働者」がネパール語の「赤い小さな本」を大量に配っていった(これも70年代中国のスタンダードだが)というから、タネは中国が蒔いたということは間違いない。なんでも今やインドにもマオイストが登場しているというから、そのうち農民暴動が頻発している中国にも、マオイストが逆輸入されるなんてことにもなりかねんだろう。それにしても、センドロがグスマン逮捕後、ほぼ自壊したのに対し、ネパールのマオイストが政権奪取まで窺う影響力を保っていることには驚かされる。そこがネパールの「複雑怪奇」な事情によるものなのだが、記憶に新しい宮廷クーデターからも分かる様に、王室内部の対立が深刻で、「ロイヤル・マオイスト」という勢力が鍵を握っていたりするのだから、天皇制内共産主義を容認したという三島由紀夫もビックリである。マオイストの民族構成にも特徴がある様で、宗教を否定したマオイストにも擬似階層的ヒエラルキーが存在するらしい。著者は副題を「国王と民衆の確執が生んだマオイスト」としているが、この本を読むと、たしかに単純な「差別と貧困が生んだマオイスト」と言い切れないことが分かる。国内に深刻な格差を抱え、権力が脆弱な多民族国家は今後、マオイストを生む土壌があると言えよう。
# * ネパール * Comment (0) * Trackback (0) *
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