世界読書旅
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■ 「漢奸」と英雄の満洲 
2008年04月12日 (土) 21:02 * 編集 *
「漢奸」と英雄の満洲 (講談社選書メチエ 404)「漢奸」と英雄の満洲 (講談社選書メチエ 404)
(2008/01/11)
澁谷 由里

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前作は「馬賊」だったが、この続編は「漢奸」となってしまった満洲英雄伝。馬賊も漢奸も中国社会では究極のアウトローである訳だが、その様にに評される人物が権力を握り、英雄として表舞台に立ったのも中国の歴史である。漢奸は現代中国人にとって最大の侮辱言葉でもあるのだが、自分が漢奸でないことを証明するには「反日」というものが手っ取り早く、日本人が中国で「良心派」と呼ばれるにも同じことである。「歴史」は本来、多面的なものなのだが、「正史」以外の解釈を認めない国では「歴史認識」とは「歴史を知る」ことではなく、「正史に異議を唱えない」ということである。そうした中国の制約には著者の世代の日本人が違和感を覚えるのは当然なのだが、満洲国の官僚を日本人が論ずることに対する中国の抵抗感については、その通りだと思う。張作霖、張学良の様な有名な父子以外に、著者が長年研究を続けているという王永江父子など、全て親子を軸にした関係で「漢奸」を論じていくのも、馬賊と英雄、或いは官僚と漢奸といったものが、父子関係の様に表裏一体であるということを表しているのかもしれない。張景恵の息子が、「撫順の奇跡」を演出した側の人間だったとは知らなかったが、たしかに「戦犯」を改造するのも、人間は表と裏をひっくり返せるものだという思想と関係しているのだろう。この「奇跡」の過程において、ソ連の影を指摘しているのは秀逸だと思う。しかし、著者が「歴史」を追いかけられるのもそこまでで、「文革」で「漢奸」たちが具体的にどの様な運命を辿ったのかは、後の統治者が「正史」を著すまで、記録として表に現れることはなさそうだ。
# * 中国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ イランの温泉を求めて 
2008年04月12日 (土) 10:46 * 編集 *
イランの温泉を求めて―ペルシア1万キロの旅イランの温泉を求めて―ペルシア1万キロの旅
(2006/05)
川崎 義巳

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これまた変わったテーマの本だが、著者はツムラで商品開発を長年していた人なのだという。現在は「NPO法人健康と温泉フォーラム」専門委員なることをしているらしい。そこでイラン副大統領直々にイランの温泉地の調査、分析を要請されて、イラン全土の温泉をくまなく廻ってきたというお話。この本は文芸社から出ているが、調査が自腹なのか招待なのかは不明。温泉の分析については巻末に数ページまとめてあり、あとは著者の「泉流」と旅行記録なので、文芸社っぽい内容ではある。ただ、「正誤表」が挟んであったのがちょっと意外。温泉の飲用と禁忌に関することなので下手すりゃ命に関わるということもあるのだろうが、文芸は正誤表を出すんだ。編集すらしないという新風はそんなもんは放置だろうけど、追加料金として請求してたりして。どうもイスラム圏と温泉は似合わん感じがするのだが、暑そうとか海パンがイヤと言うよりも、観光とかエロとかがセットになった日本の温泉文化と、純粋に療養の為で、文化ではない温泉との違いが何か引っかかるのかもしれない。日本の温泉で裸の付き合いをしたという(たぶん全裸にはなっていない)イラン副大統領の思惑は分からんが、これを読んでも、イランまでわざわざ温泉に浸かりに行きたいとは思わんね。
# * イラン * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 現代ベトナムの政治と外交 
2008年04月12日 (土) 01:44 * 編集 *
現代ベトナムの政治と外交―国際社会参入への道現代ベトナムの政治と外交―国際社会参入への道
(2007/05)
中野 亜里

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この著者の前の本はかなり良かったのだが、こちらは横書きのその論文版といったところで、淡々と事実関係を記していくのみである。ただ、ベトナム語の原書を駆使できる研究者はそういないだろうが、ベトナム政治の本自体が少ないので貴重なものであることがたしか。特に著者が拘っているのが、前著のタイトルでもあった「ベトナム戦争の戦後」についてであり、「ベトナムに間に合わなかった世代」として、ベトナムといえば、「ベトナム戦争」に拘泥しまいがちな、上の世代へのアンチテーゼもあるのかもしれない。もちろん著者が研究対象としている戦後も、カンボジア侵攻、中越戦争、ボートピープルなどは「ベトナム戦争」の戦後処理から派生した問題であり、占領軍に「戦後」を演出された日本の戦後とは大きく異なるものである。「民族自決」で勝ち取った「解放」が往々にして苦難の戦後を迎えるのも歴史に常なのだが、それにしてもドイモイが始まるまでのベトナムの戦後は「失われた10年」と言うべきものなのであろう。ベトナムが中ソの「覇権争い」の板挟みになっていたことと関係があるのだが、日本も困らされた中国からの「反覇権」要求を、そんなこと言ってる奴こそ覇権と一蹴しているのはさすが。結局、冷戦が終わって「ASEAN」の性格も変わり、収まるところに収まったという感じのベトナムだが、今後、タイとの関係がどうなるかも気になるところだ。「もはや戦後ではない」という時代が来て、人間もタイ並みになってくれることを期待しているけど。
# * ベトナム * Comment (0) * Trackback (0) *
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