2016年02月11日Thu [02:27] チェチェン  

チェチェン

チェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズムチェチェン 平和定着の挫折と紛争再発の複合的メカニズム
富樫 耕介

明石書店 2015-12-28
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博論もの。チェチェン本も久しぶりだが、著者の嫁はチェチェン人ではなくキルギス人か。初めにテーマ有りきか、研究有りきかについては日本の院生の多くが研究有りきで、テーマは指導教官に勧められたものを選ぶといったケースが普通というのは一般の認識とは逆かと思うが、この著者は高校生の頃からチェチェン紛争に興味を持ち、博論まで一貫して研究し続けたらしい。正に初志貫徹かだが、幸か不幸かその間にチェチェン情勢は沈静化して、イスラム国とかロシアで言えばグルジア、そしてウクライナがトップ・イシューになってしまって、テロやイスラムの問題はすっかりロシアから舞台を移してしまった観もある。その意味でも「チェチェン」とは何だったのかを検証し直す必要はあろう。キーパーソンを暗殺した事が成功体験であるのなら、今後もそうした流れになるのだろうが、もはやそうした旧来のシステムに依存しないフラット型の勢力にはどう対峙していくのか。

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チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たちチェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち
Asne Seierstad

白水社 2009-09
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「カブールの本屋」で当てたノルウェー人女性ジャーナリストの新刊か。最初がコソボ、次がアフガニスタン、その次がイラク、そして今回のチェチェンと、本当に戦場(の舞台裏)ジャーナリストなんだな。次はソマリアにでも行くのかもしれんが、ドンパチ主体の男系戦場ものではなく、その戦火の下で市井の人びとの暮らしを描くという点では一貫している。原書はノルウェー語で、英語はセルフ翻訳かもしれんが、英語版が結果的に底本となるから重訳。そのせいか、元々そうなのか、いつも読みにくい感は否めない。とにかく場面が時系列でなく、どんどん入れ替わり、何か変だなと思ったら90年代の話だったり、戦争孤児の話も途中から置いてけぼりになったりするのだが、戦争孤児院、帰還したロシア兵、チェチェン独裁新政権といった個別のテーマを一つの流れに収めるのでなく、クロスオーバーさせながらチェチェン問題の様相を見せるのが狙いなのかもしれない。その辺,よく分からない背後関係については廣瀬陽子さんの解説で合点がいったのだが、「戦争のチェチェン化」を演出しロシアに対する著者の言いようのない怒りみたいなものも感じた。それはロシア語を勉強し、ロシア文化が好きだという自分に矛盾を突きつけるという形で表れるのだが、ヨーロッパの人にもこういう思考回路があるとは意外だった。私は日本のアニメが好きだとか、日本製品を持っているとかを理由にして中国人が「反日」でないと立証せんとする人たちを常日頃、不可思議に思っていたのだが、文化や製品はその国を司る一部分だとしても、それと国家に対する敵意は別物だという認識が日本では一般的ではなかろうか。日本におけるロシア文学の受容などはむしろ日露戦争後に確立された様にみえるし、中華料理まで拒否するウヨはそういないだろう。その意味では別に「二分論」とか持ち出したり、「愛国教育」が結果的に「反日教育」になってしまう中国とはわけ違うし、戦後日本と戦後イラクの違いもそうした文化の柔軟度の違いだと思うのだが、いざ目の前に戦争を突きつけられると,また違ってくるものだろう。

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2009年08月28日Fri [02:25] チェチェン | 映画 |映画感想  

チェチェンヘ アレクサンドラの旅

映画

文芸座

ロシア人と日本人の琴線はやっぱ違うな。
チェチェン人ともまた別かと思うけど。
キャンプの前にあんな門前市が出てるのか。

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2009年04月18日Sat [02:26] チェチェン | 本・雑誌 |読書メモ  

チェチェン民族学序説

チェチェン民族学序説―その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲルチェチェン民族学序説―その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル
今西 昌幸

高文研 2009-02
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チェチェン版「武士道」みたいな話。林克明によると、これは「ウェズデンゲル」と呼ばれるチェチェンの伝統精神だそうだが、日本の伝統精神は頭から否定する高文研もチェチェンなら良いのか。何でもイスラーム伝来の前から受け継がれてきたものだそうだが、チェチェン語は文字が発達しなかったから、チェチェン文化のスポークスマン役をしている人がロシア語でまとめたものらしい。年寄りを敬えとか、結婚の作法など、イスラームがすんなり受け入れられ、逆にロシアには激しい抵抗を続けたチェチェンの文化土壌は十分窺える。興味深いのは「楢山節考」と同じ姥捨て山の話がチェチェンにもあるということで、これが敬老精神と矛盾したものではないことは日本と同じ。深沢七郎はハンガリーにも同じ話があるということを書いていたが、さすがにチェチェンは知らなかったのではなかろうか。いずれにしても日本独自の伝承ではないことは確かだが、ハンガリーとチェチェンなら祖先を同じくする可能性もあるだろう。チェチェンのその類稀なる抵抗精神はイスラームに影響されたものだと思うが、こうした民族精神を代々受け継いできた自負もあってのことであろう。それはあの戦争が終わるまで日本人の中にもあったものと同質のものかもしれない。牙を殺がれ、去勢され女性化することで「平和」を手に入れたわが日本の対極にあるのがチェチェンという国であろう。高文研も心のどこかにあの時代に共鳴するものがあるんだな。

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2009年01月02日Fri [01:44] チェチェン | 本・雑誌 |感想  

廃墟の上でダンス 

廃墟の上でダンス―チェチェンの戦火を生き抜いた少女廃墟の上でダンス―チェチェンの戦火を生き抜いた少女
Milana Terloeva 橘 明美

ポプラ社 2008-03
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著者は「チェチェンの戦火を生き抜いた少女」なのだそうだ。そんで、フランスに出て、これも原書フランス語みたいだから、「されて」ものの系譜なのだろうけど、ここでの敵はロシアであって、イスラームではないから「ダンス」という訳かな。なんでも前に読んだルワンダの「されて」著者とは、お友達みたいで、一緒にアウシュビッツなどにもいったらしい。あのルワンダの姉ちゃんの本はアスコムで酷い目にあったみたいだけど、このチェチェン娘はポプラ社か。大陸市場に目がくらんでるのか、中共御用本ばかり出してるポプラは、チェチェンを出せてもチベットは出せんだろうな。実際、チェチェンとチベット、どちらが悲惨かは甲乙つけ難いけど、少なくともチェチェンには選挙で自分たちの大統領を選ぶことはできる。何よりもチェチェンは「ヨーロッパ」に近く、白い肌が自慢の著者がチェチェンに「ヨーロッパ・センター」を作るのも、ワッハーブとか「過激派」からの援助攻勢に対抗する意味もあるのだろう。もっとも、チベットは逆に、「ヨーロッパ」から遠いこと武器にした秘境作戦で、白人連中の支持を集めているから、「ヨーロッパ」との近似性云々より、まずは、ロシアとか中国みたいな暴力国家からの弾圧を全面に出すのが得策なのではあろう。とりあえず、パリ政治学院を出た著者が「ジャーナリスト」として故郷に戻って活動できるということだけでも、チベットよりは、マシなのかな。

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2008年10月31日Fri [11:08] チェチェン | 本・雑誌 |読書メモ  

チェチェン紛争 

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チェチェン紛争 (ユーラシア・ブックレット)
大富 亮

東洋書店 2006-06
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東洋書店のユーラシア・ブックレットシリーズは、1989年に民間の研究所として創設された「ソビエト研究所」が前身の「ユーラシア研究所」が企画・編集しているという。設立間も無く「ソビエト」は崩壊してしまった訳だが、研究所の方は「ロシア」ではなく「ユーラシア」を選択して活発に活動を続けている様だ。その啓蒙活動の一環としてこのブックレット発行があるのだが、No100を既に越えた模様で、これはNo94。ラインアップの多くがロシア関係だが、「ユーラシア」を名乗る以上、旧ソ連(EU入りして絶縁したバルト諸国は除外されているっぽい)諸国も取り上げ無い訳にはいかない。既刊の著書をダイジェストした感じのものも見受けられるのだが、さっと読めるブックレットは私の様な人間にはありがたいものだ。この著者はチェチェン関係では有名な人なのだが、チェチェンにはまだ行ったことがないとのこと。それが功を奏しているのか、逆なのかは同じくチェチェンに行ったことがないものには分からないのだが、何世紀も前からの「戦闘伝説」を延々と読まされるのも辟易するし、状況が複雑過ぎてよく分からないところも多いのでで、ここまでコンパクトにまとめてくれると助かる。当然、チェチェンものの常としてロシア側に立った読み物ではないのだが、チェチェン内部の権力闘争やワッハーブ派の流入といった懸念事項はあるにせよ、それはロシアを免責する材料には、程遠いというのは実情であろう(それ自体がロシアの陰謀という説もある)。当分の間、著者がチェチェンに入るのは難しそうだ。

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2007年05月11日Fri [21:25] チェチェン | 本・雑誌 |読書  

チェチェンの呪縛

チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く チェチェンの呪縛 紛争の淵源を読み解く
横村 出 (2005/07/29)
岩波書店

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著者は朝日記者。で、岩波ということだが、会社的にはソ連崩壊後のロシアは叩いてもいいことになったので、ビザが拒否されるかもしれない、国外退去になるかもしれないと素直に心情を吐露しながら、結構大っぴらに書いている。こんなマネは絶対に中国ではしないのが朝日流だが、最近は韓国に対してもその傾向があるから、共産国家批判がタブーというより、儒教(中華思想)国家批判がタブーなのだろうか。ちなみに北は日本と同じ「王制」だから叩いてもOK。まあ、それはそれとして、この本は余計な著者の分析や主張を排した、如何にも新聞記者という感じのリポート。まあその分、楽に読めるのだが、状況はエライことになっているのに淡々としているので、緊迫感は全く伝わらない。ただ、私としては大仰な「戦場もの」よりは、こうした「現場報告」の方が好みである。面白いと思ったのは、日本で出ているチェチェンもの(数冊だけだが、たぶん半分以上は読んでいるはず)を読むと、チェチェン人は一枚岩で、ロシアに抵抗している感を持つが、こちらでは、チェチェンの内部抗争や、チェチェン人同士を戦わせる様に仕向けるロシアの戦略が詳しく紹介されている。この辺りは植民地支配の常である分割統治の手法だが、親ロシア派がそれなりの勢力を維持しているのも、長らく世俗でやっていたチェチェン人の、いわゆる「ワッハービー」に対する違和感を表しているとも言えるだろう。また、リトアニアとか、ヨルダン、アフガニスタンなどのディアスポラ・チェチェン社会を取り上げているのも興味深い。なのに、なぜ最大の在外チェチェン・コミュニティがあるモスクワがないのか。著者はモスクワ特派員だが、やはり負のイメージは伝えたくなかったのかな。

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2006年07月28日Fri [00:10] チェチェン | 映画 |映画  

コーカサスの虜

映画
コーカサスの虜
コーカサスの虜
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ビデオメーカー (2004/12/23)
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これは結構面白かった。気になるのは使用言語なんだけど、やっぱ全編ロシア語だったのかな。あの少女が当たりなんだろう。出演者としては5.6番手くらいの役なのにカバーに起用されている。教師の母ちゃん役も、手紙を読んで教壇で無言でうなだれるとか、軍曹をいきなり叩き始めるといったシーンはすごくいい味出してた。エキストラも結構、細かい演出入っていて女性陣はかなりよく出来てた。ヒゲ男の方は最初ウザかったけど、最後の方には納得。主演(になんのかなな?)の若い方は前にこの監督で不良少年やった奴かな。相変わらず素人っぽい感じがするけど、そういうキャラだから合ってるのかもしれない。元々スラブ系じゃない設定なのだろうか。とりあえず無駄がないし、カメラ構図も脚本も一級品でしょう。現地の人が見て、どう思うか知らんけど。

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2006年03月06日Mon [02:31] チェチェン | 本・雑誌 |読書メモ  

アッラーの花嫁たち

アッラーの花嫁たち ―なぜ「彼女」たちは“生きた爆弾”になったのか?
ユリヤ・ユージック 山咲 華
WAVE出版 (2005/08/25)
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モスクワ劇場占拠事件をはじめとする女性にるチェチェン自爆テロの実行者を追ったルポ。著者はロシア人(たぶん)の女性ジャーナリストで原著刊行時は22才。その内容はかなり興味深いものではあるが、幾分に違和感もあった。まず、原文がどうなっているのか分からないが、このですます調で、クエッションマークを多用した翻訳はいただけない。若い女性らしさを特徴させたのかも知れないが、この著者は一応新聞記者(当時は『コモソリスカヤ・プラウダ』、現在は『ニューズ・ウィーク』ロシア支局の所属らしい)なのだから、こんな高校生が書く様な文体に統一しなくても良いのではなかろうか。また、本文の問題としては、全てをバーブ教徒の責任に帰しているところは疑問に感じる。「バーブ教」、「アッラーの花嫁」などの呼称についてはどうだろう。注釈をつけた方が良いだろう。また、ソースが「証言」に偏っており、これはあくまでも検証不可能な「オーラル・ヒストリー」と捉えた方が良さそうだ。しかし、それはそれで貴重なものである事に変わりはない。

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2006年01月30日Mon [02:22] チェチェン | 本・雑誌 |読書メモ  

チェチェン

チェチェン
チェチェン
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パトリック・ブリュノー 萩谷 良
白水社 (2005/07/25)
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チェチェンものも何冊か読んできたが、どれもイマイチ、ピンと来ない。背景が複雑過ぎる事もあろうが、この地方(カフカス)に未だ足を踏み入れた事がないという面での、皮膚感覚の理解が不足しているのかもしれない。この本は文庫クセジュという事で、原著仏文なのだが、98年の出版らしい。その後の補足はあるが、97年初頭のマスハドフ大統領選出で終わっている。その後は承知の通り、再びロシアの侵攻が始まり、後継大統領のカディロフに続き、マスハドフも今年殺害された。とにかくチェチェンの歴史はソ連時代を例外として絶えず戦火が絶えない。そのソ連時代も多くのチェチェンの男たち(とその家族)は遠く中央アジアなどに追放されており、チェチェンの地はチェチェン人のものではなかったのである。この本には、そうしたディアスポラについても詳しい記述がある。トルコがその最大の受け入れ国だったとは意外だった。翻訳ものだし、省略も多い様だが、他の本の様に、過度にチェチェン人に肩入れしている訳でもなく、歴史記録調でもない新書なので、入門書としては良いかも。

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2005年09月24日Sat [03:40] チェチェン | 本・雑誌 |図書館で借りた本  

誓い  

4757210388誓い チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語
ハッサン・バイエフ

アスペクト 2004-05-25
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副題が「チェチェンの戦火を生きたひとりの医師の物語」という事で、現在アメリカで暮らすチェチェン人医師の回想記。細部にはかなり脚色が入っているのだろうが、こうしたチェチェン人自身から見た戦争の記録は貴重である。国家の統制下にない本当の「戦時下」の恐ろしさは十分伝わる。興味深かったのは、取材を受けるリスクとメリットについての話。迷った末、西側マスコミに暴露する事で、ロシア軍に拉致されたチェチェン人を解放に導いたという記述がある。実名が多く登場するこの本もそうした意味付けがあるのだろう。あとはワシントンに来た頃、周囲が危険というスラム地区に知らずに入りこんでしまい、案の定ギャング風の若者に取り囲まれたが、彼らがマシンガンも手榴弾も持っていなかったので、全く怖いと思わず、逆に柔道の構えをとってロシア語で叫んだら、ギャングはあきれて行ってしまったという話。狂った白人と思われたというのが周囲の評価。なるほど。

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2005年08月27日Sat [10:54] チェチェン | 本・雑誌 |読書メモ  

チェチェン大戦争の真実

4817405686チェチェン大戦争の真実―イスラムのターバンと剣
植田 樹

日新報道 2004-05
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近代から現代まで時系列にまとめてあるのだが、タネ本から拾い集めたのか、いつ、誰が、何処で、何をしたといった歴史教科書の様な構成。第2章の「かくも長き戦い」はホントに長過ぎる。全体の4分の3ぐらいを喰っていて、途中で誰と誰が戦っているのか分からなくなってしまった。パレスチナの様に国際的理解を得られないのも、この「複雑系」のせいか。

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