2016年08月06日Sat [04:10] タンザニア  

「その日暮らし」の人類学

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)
小川 さやか

光文社 2016-07-14
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博論がサントリー学芸賞とって、ポスドクから准教授となり、「小説宝石」まで連載を持つようになった人だが、このテーマは意外と競合研究者が少ないから、一気にスター教授になるかもしれない。何でも指導教官が農村でのフィルワを勧めたのを拒否して、都市商人の調査に決めたらしい。第三世界研究の基本は農村ということだったのだろうが、もはやそういう時代ではなかろう。都市インフォーマルセクターは実のところ、様々なバリアに阻まれる農村やフォーマルセクターとは違って、調査障壁は小さい。たまたま隣り合った人と商売を始めたりする様子も描かれているが、人脈基本の商人にとって、日本人というのも大きなアドバンテージになる。後に著者が出向く中国でも同様で、反日の国の商売人世界では日本人の価値は高い。逆を言えばアフリカ人と中国人は互いにビジネスライクというか、疑心暗鬼というか、その関係性は興味深いところである。中国人がタンザニアのマーケットで路上販売というのは世界の大国を任ずる今となっては解せないだろうが、例え北朝鮮であってもという出国信仰は未だ命脈を保っているし、小資金で独立して商売を始められるならどこでも構わないということであろう。この辺は富裕層との「出国先格差」がある訳だが、根本は同じである。

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人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。――第2の人生 マラリアに挑む人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。――第2の人生 マラリアに挑む
水野達男

英治出版 2016-01-23
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住友化学のアフリカ蚊帳ビジネスの話は前に別の本で読んだけど、それとは別の人か。前の本ではビジネスとして成功したという話だったが、この著者によると、在庫が膨らみ、過労で倒れたことがきっかけで、ビジネスではなく人道支援に目覚め、NPOを主宰する様になったとしている。後半はほとんどそうした活動理念話で、実質PR本。元々、日本モンサントにいたそうだが、住友化学に移って、農薬をやっていたら、モンサントが農薬組み込みの遺伝子組み換え苗を売り出したので、ダメになり、新規市場開拓で蚊帳に目を付けたらしい。米倉狸がダボスで講演したら、シャロン・ストーンがいきなり立ち会って、私はマラリア対策に10万ドル寄付します。みなさん寄付してください。と呼びかけけると、一気に100万ドルも集まったという。さすがは氷の微笑だろうが、ケチな狸ジジイは幾ら出したんだ。

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ザンジバル・ゴースト・ストーリーズザンジバル・ゴースト・ストーリーズ
飯沢耕太郎

祥伝社 2013-03-13
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写真評論家の著者がザンジバルで買い求めた「ザンジバル・ゴースト・ストリーズ」という本を現地の喫茶店で読んでいたら、その本の著者は私ですという男が話しかけてと、何だか「喪失の国日本」と同じ匂いがするな。実際にその著者が書いたものの翻訳なら、著者はこの評論家ではないはずだが、日本語で著者としてクレジットされているのはこの日本人だけで、「本当の著者」は謝辞と手紙だけに署名が入っている。コピーライトも日本の著者だけのクレジット。カバーには「transted and adapted by IIZAWA Kotaro」とある。原書はスワヒリ語なのか。著者は80年代にナイロビでスワヒリ語を学んだとあるが、星野学校だろうか。しかし、スワヒリ語の作家専業という人はどのくらいいるのだろうか。

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2012年04月29日Sun [00:45] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

おいしいコーヒーの経済論

【増補版】おいしいコーヒーの経済論――「キリマンジャロ」の苦い現実【増補版】おいしいコーヒーの経済論――「キリマンジャロ」の苦い現実
辻村 英之

太田出版 2012-04-06
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2009年に出たものの増補版らしい。初版のは読んでいないし、見た記憶もないのだが、各紙書評に取り上げられるなど反響が大きかったらしい。そこで誤字脱字や難解な表現を改めて、その後のコーヒー価格高騰の要因なども付け加えたらしいが、基本的な内容は変わっていない様だ。私は著者が価格破壊だとしている「シアトル系」なども高すぎてよう行かん身なのだが、「おいしいコーヒーの経済学」だからマクドナルドは論考の対象外なのか。お代わり廃止して100円に戻したりしたけど、あそこの原価はどのくらいで。タンザニアの生産農家に長くフィールドワークを続けている人らしく、フェアトレードに希望を託すのは成り行きかもしれんが、フェアトレードに疑問を挟む者を大手企業礼賛者と位置付けるのはどうなのか。大手がフェアトレに商業目的で進出し、それを快く思わないNGOなどもあるそうだが、フェアトレードの免罪符化も商業化も本質は変わらんのでは。それを繋ぐのが認証制度らしいが、フェアトレードのフェアとはあくまでも北の自己満足的論理であって、それこそ生産者が消費者と直接取引出来る体勢でも構築しないと難しい。間に入っている連中の押し付けがましい奉仕性は商精神より厄介である。

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2011年08月08日Mon [15:39] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

タンザニアに生きる

タンザニアに生きる―内側から照らす国家と民衆の記録タンザニアに生きる―内側から照らす国家と民衆の記録
根本 利通 辻村 英之

昭和堂 2011-05
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なぜか知らんが、このところタンザニア本の刊行が続いている。今年に入って4点目というのはこれまでの「実績」を考えると非常なハイペースなのだが、その先陣を切った昭和堂が第2弾。80年代にタンザニアに留学して、99年よりダルエスサラームで旅行社を経営するという著者は正に「タンザニアに生きる」を体現している人なのだが、その間に市民運動の機関紙やHPで書き溜めていたものをまとめたもの。タンザニアの80年代というと、世界的に社会主義国家が淘汰されつつ時代であった為、その物資欠乏状態は深刻であったらしい。当然、その時代の話が圧倒的に面白いのだが、当時のレートでバケツ一つ8400円って、どんなブランドなんだよ。その頃も中国と特別な関係があった訳だが、まだ中国製の洪水には呑まれていなかったのか。中国との関係で象徴的なのはやはりタンザン鉄道なのだが、その「超低速鉄道」の乗車体験も面白い。工事から何から中国人を大量に動員して、運行も中国人が担当というのは現在、中国が目論む「高速鉄道」の輸出と同じ構図なんだろうが、さすがに平均時速42キロでは事故が起こりようもない。それでも開業当時は主に経済的側面で競争力があったらしいが、現在はほとんど風前の灯状態だという。さすがに中国ももはや「友好」だけで、「高速鉄道」を「第三世界」には輸出できんだろう。映画「ダーウィンの悪夢」についての批判もあるが、これは「ザ・コーヴ」と類似したものか。

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2011年07月04日Mon [00:06] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

タンザニア100の素顔

タンザニア100の素顔―もうひとつのガイドブックタンザニア100の素顔―もうひとつのガイドブック
東京農業大学タンザニア100の素顔編集委員会

東京農業大学出版会 2011-04
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東京農大の100の素顔シリーズはまだ続いていたのか。ジブチとかまで出ていたとは知らなかったが、国内編も合わせて年に1冊以上は出ている様だ。海外編は大体、姉妹校関係の視察旅行報告みたいなものだが、海外には多い農業専科大学も日本はたぶんここだけなので姉妹校締結の話は結構あるのだろう。ペルー編ではフジモリの写真がカバーに使われているがヤツも農業大学総長の経歴があったな。で、タンザニアの姉妹農大からは2人が東京農大に留学しているそうで、その二人も執筆陣に加わっている。農大だけあって農業とか食関係の話が多い。焼き魚定食は美味そうだ。

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2011年05月30日Mon [14:42] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

都市を生きぬくための狡知

都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌―
小川 さやか

世界思想社 2011-03-01
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タンザニアの零細商人の世界については先日読んだばかりだが、もう一冊出ていた。ともの10年近くの調査を続けた成果だが、こちらは博論ものということでスタンスが違う。先日読んだ立教の先生の本には、自分で商売をやりたいと思わなかったのだろうかという感想を書いたが、こちらの著者は院生の身分だったこともあったのか実際に自分でやってみたという話。それも10年近くというから半端ではないのだが、当然の如く、現地では大変目立ってしまい、逆に現地メディアが取材されることもしばしあったらしい。文化人類学の定点観測という意味では10年でも20年でも長くは無いと思うが、博論を書く為だった、それが本業になってしまった訳ではなく、最初か最後まで研究が主であり初志貫徹したというのは凄い。そうしたことを鑑みれば、実際に身を投じた者の方の話が面白いはずなのだが、徹底してデータ蒐集に徹した先生の本の方が読みやすく面白かった。こちらは博論だし、インフォーマントが身内化していて、感情移入が強いという点は致し方ないのだが、やはりこのグローバル・ビジネスの一端をタンザニアだけで完結させているのは身も心もタンザニア商人になりきってしかったからというところか。商品である古着は日本も有力な輸出国なのだが、そうした出所にはほとんど関心がなく、商売の狡知、痴話喧嘩を演じるとか、仕入れ値を偽るとかいった話がメインとなるので、商人としてではなく研究者としての仕事だったのなら、10年の歳月は長かったのではないかと感じさせれた。

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2011年05月23日Mon [01:02] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

アジアで出会ったアフリカ人

アジアで出会ったアフリカ人―タンザニア人交易人の移動とコミュニティアジアで出会ったアフリカ人―タンザニア人交易人の移動とコミュニティ
栗田 和明

昭和堂 2011-01
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中国のアフリカ人研究はちょっと前の日本のブラジル人研究同様、エスニック研究のトレンドだったるするのだが、この本は凄いな。アフリカ人の中でも多数派であるナイジェリア人やソニンケ人ではなくタンザニア人だけにスポットを当てた結果、タテではなくヨコに拡がって、より交易商人の世界というものが見えてくる。それにしても感心させられるのは著者の徹底調査なのだが、在留タンザニア人については一人一人まで調べ上げている。さすがは知るためのマラウィ編を企画から一人で作り上げた人だが、タイにしても香港、中国にしてもタンザニア人の在住者自体は意外に少ない。在住者に限って言えば、これなら日本の方が多いかもしれない。12チャンで玉にホウ放送される在日アフリカ人嫁特集でタンザニア出身者は3人ほど記憶しているのだが、中国とか香港、タイだとタンザニア人男性と結婚した現地の女性はいても、タンザニア人女性を娶った現地の男はほとんどいそうにないな。タンザニア人向け美容院が存在すると言うことはそれ何の数の女性滞在者がいるのだろうけど。タンザニアもアフリカの常として多民族社会な訳だが、スワヒリ語という国語の普及はタンザニア人同士のネットワークに随分寄与している感じ。これもニエレレ時代の国民国家化がアフリカでは例外的に上手くいったからではあろうが。著者は業として研究調査を行ったに過ぎないのだろうけど、これだけ商売のシステムを調べ上げて、自分でやってみたいとは思わなかったのだろうか。インフォーマントがこれだけ協力的だったのも著者の人徳もあろうが、日本との関係ということが商人たちにとって魅力的であったこともあるのではなかろうか。まあアフリカではあるまいし、大学教授の職を捨てて商売の道に入るなんてことは日本ではないか。

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2010年02月19日Fri [15:41] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

おいしいコーヒーの経済論

おいしいコーヒーの経済論(「キリマンジャロの」苦い現実)おいしいコーヒーの経済論(「キリマンジャロの」苦い現実)

太田出版 2009-06-09
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コーヒー経済論には様々なアプローチがあるのだが、タンザニアの日本大使館で現調もしていた経験がある著者は生産地主義でも、収奪論にはとらわれず、市場原理を重視した論考。キリマンジャロの生産地でコーヒー価格の下落から、トウモロコシの様な「換金作物」や、バナナの様な「女性作物」への転作が始まっていることは、植民地的モノカルチャー農業という負のイメージを据え付けられたアフリカ農業の自主性を表すことにもなるのだが、生産者は代々受け継いだコーヒー栽培に誇りをもっており、国際市場価格に影響を受けない形でのコーヒー生産を模索しなければならない。こうした問題提起で有効とされるのがフェアトレードであり、その規格化が進んだ現在では生産者側の利益も確保される方向に進んでいるという。ただ、事実上、生産量の規模からコーヒーの市場価格の決定権を握るブラジルの動向もあり、フェアトレードは流通の数パーセントを超えることはなさそうだ。値段的にブレンドに対抗し得ない以上、一部の意識改革が進んだ消費者以外はフェアトレードに参与することもないのだが、マックのコーヒー無料券が引き続き実施されることだけが心配な私は非ロハス。

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2007年03月22日Thu [23:19] タンザニア | 本・雑誌 |読書メモ  

タンザニアを知るための60章 

タンザニアを知るための60章
栗田 和明 根本 利通
明石書店 (2006/07)
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全世界制覇を狙う「知るための」シリーズだけど、アフリカは南アもエジプトもまだなのに、マラウイの次がタンザニアという如何にも通好みの順番。と思ったら、「マラウイ編」と同じ人が編者で、要するに持ち込み企画があったから出版しましたということみたい。まだまだ埋めていかなくてはならない国が山ほどあるので、志ある人は手を挙げて欲しいものだ。さて、タンザニア編なのだが、他と違って国を一くくりにせず、都市と田舎に分け、更には国外にまで言及したり、地域別の紹介をしたりしているのが特徴。国外とはタンザニア人の国外移住が相当な数にのぼるからであって、バンコクの怪しいグループの話もある。まあ考えてみれば、この国はタンガニカとザンジバルの連合国家だったり、アフリカでは普通の多民族構成なので、国家意識というのは人それぞれであろう。ただ、言語的にはスワヒリの通用度が国全域に及び、リンガフランカが確立しているらしく、学校の授業もスワヒリだという。これは公用語として旧宗主国言語を採用しなくてはならなかったアフリカ諸国においては珍しい例なのだが、スワヒリも征服者の言語とも言えるし、国語はスワヒリでも英語は公用語の位置には留まっている。また、ニエレレの「アフリカ式社会主義」に関しては前々から関心を持っていたのだが、どうもその実情は「ビルマ式社会主義」なんかと同様、お寒い状況であった様だ。ということで例によって中国がテコ入れしていた国としても知られているのだが、ヒトを出してカネを出さないかの国らしい話もあって、なんでもタンザン鉄道建設に送り込まれた中国人労働者の給料の一部は現物支給だったらしく、編者は70年代タンザニアで青島ビールを随分飲んだとのこと。そんなに頑張っても中国人はやっぱり「チーナ」と侮蔑的に呼ばれていたらしい。まあこれはアフリカや南米(アラブ世界も酷い)の宿命なんだけど、他人事じゃないから困るよね。かといって「名誉白人」にはなりたくないし、難しいところだ。

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2005年08月06日Sat [23:30] タンザニア  

我が志アフリカにあり

4022578998我が志、アフリカにあり
島岡 由美子

朝日新聞社 2003-12-12
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この本の主人公である著者の夫(カクメイジ)はアフリカで革命を起こすため、ザンジバルに移住し、現地の人と同じ生活をしたいと漁業に従事。現在は柔道を教えているという。生まれた時代や場所が違っていたら歴史に名を残す人だったかもしれないが、正直、マンガの様な話。何故に日本人がアフリカへ行って革命を起こさなくてはならないのか。といった根本的な問題は置いといても、良い意味でも悪い意味でも常識的な人間ではない。妻である著者はあくまでも「常識的」人間で、そんな夫に疑問や反発を感じる事もあった様だが、結局、そのアナーキーさに圧倒され、思想的に隷属してしまう。10代の頃だったら共感できたかもしれないが、40、50になっても「革命ごっこ」を続けている「過激派」の連中よりはまだマシかな程度にしか思えない。そんなもん「カクメイジ」は知った事ではないだろうが。

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2005年06月04日Sat [15:46] タンザニア  

ザンジバルの笛

ザンジバルの笛―東アフリカ・スワヒリ世界の歴史と文化
富永 智津子
未来社 (2001/05)
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タイトル通り、ザンジバルのフィールドワークもの。まあ読みやすい方。
★★

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